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【産経抄】4月29日
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昭和26(1951)年12月、昼間は出版社の経理事務員として働き、夜は大学に通っていた。月給は手取りで5890円。母親に4500円渡した残りから、通学の定期代などを引くと、520円しか残らなかった。
▼昭和5年生まれの作家、澤地久枝さんは、一日の終わりにお金の出入りを細かく書き留める習慣があった。その出納記録をもとに、自身の昭和の暮らしを振り返ったのが、『家計簿の中の昭和』(文芸春秋)だ。
▼39年6月当時のある日の支出をみると、パーマ代1200円、ざるそば70円。驚くのは、ナイロンストッキングの伝線を1本10円で直してくれる店があったことだ。作家として独立後、ミッドウェー海戦の取材のために、貯金をおろし、さらに数千万円の借金をする場面は、さすがというほかない。つましいながらも、よく働き、少しずつ豊かになっていく。
▼昭和を生きた多くの日本人の生きてきた道と重なっているはずだ。そんなお年寄りの怒りが、日曜日の衆院山口2区補選で、民主党を大勝させた。与党幹部は、後期高齢者医療制度の導入に踏み切った小泉元首相に責任をなすりつけたいようだ。舛添厚労相は早速何らかの対応策の検討を表明したという。なんという政治の軽さだ。
▼48年秋、澤地さんの食料品、日用品の買い物が急に増えた。オイルショックの余波で、トイレットペーパーが店頭から姿を消したのはその直後のこと。14歳のとき満州で敗戦を迎え、一家は着の身着のまま引き揚げてきた。
▼いざというとき、「この国の政治は、市民一般救済の緊急性を無視すると体験で知っているから」だという。小手先の政治の積み重ねが、昭和の悲劇を招いた。福田首相は覚悟を決めた方がいい。