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【産経抄】4月28日
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たばこ1箱の値段を欧米なみの1000円に上げるべきだ。日本財団会長の笹川陽平氏が正論欄で行った提案が、大きな反響を呼んでいる。神奈川県の松沢成文知事は、居酒屋、パチンコ店まで含めた公共の施設での喫煙を禁じる条例の成立を目指す。
▼喫煙者の肩身は狭くなるばかりだが、フランスでは、路上へ追い出されたというのにとても楽しそうだ、と山口昌子パリ特派員が伝えていた。「火をお持ちですか」と男性が女性に声をかける常套(じょうとう)句の成功率が上がったからとか。禁煙法批判で会話が盛り上がり、寒い季節なら人のぬくもりが「物理的に」必要になる…。
▼日本でもたばこが恋のきっかけをつくった時代があった。たばこ屋の店先にすわる看板娘を目当てに、毎日買いに行く若い男も多かったらしい。うちとけていく2人の様子を、ユーモラスに描いた「タバコ屋の娘」なんて流行歌もあった。
▼「タバコ屋の看板娘孫を抱き」。小紙の川柳欄にあった作品だが、いまではおばあさんの姿も見かけない。看板娘に取って代わった自動販売機の設置台数は、今や全国で48万にのぼる。その自販機でたばこを買うのに必要な、成人識別ICカード「タスポ」が、7月までに全国で導入される。
▼未成年者がこっそりたばこを購入することができなくなるから、12年間続いてきた深夜の販売自主規制も解除するそうだ。ちょっと待ってほしい。親や先輩のカードを持ち出す不心得者もいるだろうし、個人情報が漏れる心配もある。
▼初期費用だけで1000億円もかけるくらいなら、看板娘を復活させてほしかった。たばこの害の議論はさておき、この国では人と人をつなぐ小道具としてのたばこの役割は、終わってしまったのだろうか。