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【正論】再論「靖国」 アンフェアな製作手法も露呈 国学院大学教授・大原康男 (2/3ページ)
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刀匠への重大な裏切り
彼らの主張を正面から繰り返し取り上げ、思う存分しゃべらせているのを見れば、「政治的、宗教的宣伝意図を有するものを除く」と規定する助成金交付の「基本方針」に明白に抵触していると言わざるを得ない。
有村議員の長時間にわたる追及に文化部長はまともに答弁することができず、審査が驚くほど杜撰(ずさん)であったことが明らかになり、最終的には「助成金返還の是非」の検討が求められたのは当然のことといえよう。
有村議員による一連の質疑の過程で初めて公にされたことだが、残る1人のキャストであり、かつて「靖国刀」と呼ばれた日本刀を製作したことのある高齢の刀匠は、キャストになることを「全く知らされておらず」、また「美術品として純粋に靖国刀匠のドキュメンタリーとして撮りたい」という出演依頼の際に受けた説明と出来上がったものとは内容が違っているとして、自分が映っている「映像を一切外してほしい」と希望しているという。
李監督は「承知しているのに(有村議員が)変心させた。許せない介入だ」と矛先を有村議員に向けて反論したが、思わぬトラブルに巻き込まれた老刀匠は重い口を開いて「監督はもう信用できない。出演場面をカットしてほしい」と明言した(4月11日付毎日新聞)。刀匠の夫人も有村議員の電話による問い合わせによって「影響をうけたことはない」と答えている(同日付東京新聞)。
道義的責任も加わる
事実がこの通りならば、この映画が刀匠の気持ちをはなはだしく踏みにじったものであることは間違いないが、一方、映画の舞台となった靖国神社も4月11日に「撮影許可手続きが順守されていない」うえに「事実を誤認させるような映像等が含まれている」という理由で監督と配給会社に対して問題映像の削除などを求める通知を行った。

