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【産経抄】4月22日
このニュースのトピックス:脅迫
若い人は、「怒り」を表すとき、「頭にくる」や「腹がたつ」の代わりに「むかつく」という言葉をよく使う。立川昭二北里大学名誉教授によると、「頭にくる」や「腹がたつ」の場合は、怒りが、いったんからだの中に入り、考える時間がある。
▼「むかつく」は全然からだに入ってこない。相手と自分の間が「切れて」しまっている(『からだことば』早川書房)。立川氏は「デジタル社会という時代背景もあるのではないでしょうか」と控えめに指摘する。大ありだろう。
▼いじめの温床として、今深刻な社会問題となっている「学校裏サイト」には、「むかつく」のほか、「キモイ」や「うざい」といった悪口があふれている。インターネットの効用はいうまでもない。半面、人間味を失った言葉が、嫌悪感を増幅させて、特定の個人に襲いかかる事件が頻発している。
▼ニューヨーク・タイムズ紙によると、チベットをめぐって対立する学生グループを仲裁しようとした、米ノースカロライナ州のデューク大学の中国人留学生が、ネット上で「売国奴」と糾弾されている。中国人学生向けサイトには、女子学生の個人情報が掲載され、本人には脅迫メールが送られ、実家には汚物がまかれたという。
▼中国のネット社会でどんな言葉が飛び交っているのか不案内だが、もはやいじめのレベルを超えている。国内ではネットによる呼びかけで、北京五輪の聖火リレー妨害を許したフランスへの抗議デモが各地に広がっている。若者の多くが、「切れて」しまったとしか思えない。
▼彼らの「むかつき」の本をただせば、政府が植え付けた自国中心の愛国主義に行き着く。ネットの脅威に気づいて、今さら「理性」を訴えても遅すぎる。