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【産経抄】4月15日
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昭和35年のレコード大賞に輝いた「誰よりも君を愛す」は、川内康範さんにとって、作詞家としてのデビュー作となった。なかでも「愛した時から苦しみがはじまる」のフレーズは、世間に衝撃を与えた。
▼愛する対象が国であっても同じことだ。内閣府が発表した「社会意識に関する世論調査」の結果をみて、そう思った。国を愛する気持ちが「強い」と答えた人が57・0%と、過去最高になったという。
▼といっても国民の多くが、現状に満足しているわけではない。「悪い方向に向かっている」と感じる分野を聞いてみると、「景気」「物価」「食糧」を挙げた人が4割を超え、昨年の前回調査から2倍以上増えていた。
▼「愛国心」=悪だといわんばかりの奇妙な言説は、最近さすがに廃れてきた。それでも、歴史、伝統、文化には愛着があるが、今の日本にはない、などと屁(へ)理屈をこねる人がいる。国というものは、いいところも悪いところもひっくるめて愛するものだ。世論調査の結果は、“世界の常識”に沿ったものといえる。
▼筋金入りの愛国者だった川内さんにとって、日本はどんな国だったのか。軍隊では、ゴリラとあだ名がついた上官にいじめ抜かれた。戦後は、手のひらを返したように自国を断罪する文化人を尻目に、戦没者の遺骨の引き揚げ運動に没頭する。政治家との深いつながりやグリコ森永事件の犯人グループへの呼びかけに対して、心ない非難を浴びたこともある。
▼月光仮面を演じた大瀬康一さんが小紙に、川内さんは、「本気で社会の『正義の味方』であろうとした」と語っていた。欠点だらけなのに、愛さずにはいられない。祖国への、そんなやむにやまれぬ思いに突き動かされていたのだろう。