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【産経抄】4月13日

2008.4.13 02:43
このニュースのトピックス産経抄

 映画「靖国 YASUKUNI」がまた物議をかもしている。作品の中心的登場人物である高知県の刀匠が「自分の出演場面と名前を削ってほしい」と訴えているのだ。出演者が映画の趣旨を認めないというわけで、もう上映云々以前の問題だ。

 ▼映画は靖国神社をめぐるドキュメンタリーである。中にかつて軍人に贈る「靖国刀」を作った刀匠、刈谷直治さん(90)が登場する。その刈谷さんが国会での質問のため電話をかけてきた有村治子参院議員に、出演場面のカットを希望したという。

 ▼有村さんがこの発言を国会で紹介すると、映画を制作した李纓監督は記者会見で「刈谷さんは了承している。作品が成立しないよう働きかけられたとしか受け取れない」と反論した。まるで有村議員の「圧力」で変心したかのようだった。真に受けた一部のマスコミは「議員が圧力か」と騒いだ。

 ▼ところが産経新聞などが刈谷さんに直接取材すると、刀匠自身が削除を訴えていることを認めた。しかも1年も前に試写を見て「出演依頼のさいの趣旨と内容が違う」と、李監督に制作のやり直しを求めていたという。「利用された感じがする」とまで語っている。

 ▼「言った」「言わない」といった行き違いはよく起きる。だが、それならもう一度よく話し合うべきで「圧力のせい」などと逃げてはならない。「靖国」のようなナイーブなテーマであれば、出演者のきちんとした了承を得るのは制作者のイロハだろう。

 ▼この映画が上映中止の騒ぎを起こしたときにも、さも政治家の圧力のせいであるかのような報道があった。今回も「圧力」が独り歩きしそうだった。根底にあるのは何でも権力者を「悪者」にしておけばすむという戦後文化のさもしさである。

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