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【産経抄】4月3日
このニュースのトピックス:安倍前首相
いやな風が吹いている。自分たちの主張にあわないものは認めない。こんな圧力に屈して、東京と大阪の映画館が、靖国神社を題材にした中国人監督の「靖国 YASUKUNI」の上映中止を決めたのは、大変残念なことだ。
▼上映中止の背景には、「国会議員らの動きがある」と、きのうの朝日新聞の社説はいう。自民党の稲田朋美衆院議員らが、開催を要求した試写会のことを指すらしい。しかし、稲田氏らが検証しようとしたのは、政治的に中立性が疑われる映画に対して、政府出資法人から助成金が出されたことの是非である。
▼社説は、稲田氏に上映中止の責任があるかのごとく、上映呼びかけの「具体的な行動」を起こすよう迫っている。筋違いも甚だしいが、この新聞の“お家芸”ともいえる。平成17年1月、当時の中川昭一経産相と安倍晋三自民党幹事長代理が、NHKの番組を改変させたと、1面で報じた記事もそうだった。
▼番組は、朝日の元編集委員が主催した「女性国際戦犯法廷」を扱ったものだ。昭和天皇を「強姦(ごうかん)と性奴隷制」の責任で一方的に断罪するなど、偏った内容をNHKが修正するのは当然のことと、小欄は以前にも書いた。
▼NHKとの泥仕合の果てに、「政治的圧力」の証拠を示さないまま幕を引き、有力政治家をやり玉に挙げた事実だけが残った。最近は、古森重隆NHK経営委員長への“風圧”を強めているようだ。「国際放送で国益重視を」。この発言のどこに、問題があるというのだろうか。
▼「天声人語」子は、「風に負けてはならない時がある」という。その通りだ。ただ、自分たちもまた風を起こし、それに脅威を感じる人たちがいる。自らの大きな力に無頓着にみえるのは、残念なことだ。