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【正論】「気概」の喪失こそ深刻だ 千葉商科大学学長・島田晴雄 (1/3ページ)
指導者は国民共通の目標を示せ
≪6年余の景気拡大に影≫
年が明けてから、にわかに景気後退の懸念が強まっている。昨年からひろがりを見せていたサブプライム問題や原油価格の高騰など外的ショックが大きいが、ゆるやかながら6年以上もつづいてきた景気拡大に急ブレーキがかかっている。日本株の落ち込みはとりわけ大幅で、日本売り現象がはじまっている。
一時、抜本的な構造改革に邁進(まいしん)するかに見えた日本経済に改革の展望が開けず、日本の将来にあまり期待できそうもないという世界の評価がその底流にある。それを裏付けるのが「政治不況」だ。「ねじれ国会」で政策の策定がおくれ改革が頓挫している。さらに政策が不況を増長している。建築基準法の改正で建築着工が激減し、貸金業法の改正でノンバンクが縮小する。そして何よりも、「改革疲れ」といわれる社会的風潮が日本の将来をとりわけ不透明にしている。
景気の後退は循環的現象だが、今回の景気後退の背後にあるこうした状況は、日本の将来にとって深刻な問題を示唆しているように思われる。
日本の停滞とは対照的に、世界は激しいダイナミズムで進んでいる。欧米先進諸国に対して中国、インド、ロシアなどいわゆるBRICsに代表される新興諸国がたくましく成長し、世界経済の活力源は次第にこれらの地域に移行しつつある。最近訪ねたモスクワの風景は大衆消費に沸き返る元気だった往年のアメリカを彷彿(ほうふつ)とさせた。私はこの十数年、アジア学生会議を主催し、また大学でアジア諸国の学生を受け入れているが、発展を求める彼らの意欲には目を見張るものがある。
≪安倍退陣と政治の軽さ≫
日本にもかつて成長への願望が人々を駆り立て、発展への希求が国民共通の目標だった時代がある。1980年代に一度、世界最高所得水準を達成してから成熟過程に入った日本にはもはやこうした成長志向はなじまないだろう。それは分かるが、それにしても最近の風潮には成熟社会の必然と言って済まされない退廃を感ずるのは筆者だけだろうか。