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【産経抄】2月17日
このニュースのトピックス:相次ぐ値上げ
今時、大臣が国会で「貧乏人は麦を食え」などと言ったら、審議は確実にストップする。今時でなく昭和25年にも大問題となった。発言したのは後に首相となる池田勇人蔵相である。米価値上げに関する答弁だが、実際はもう少しソフトな言い方だった。
▼「日本人は皆同じものを食べているが、所得の多いものは米、少ないものは麦本位としたい」である。米が高くなるが、麦も食べて我慢してほしいといった程度のことだった。これがマスコミによって「貧乏人は…」と「翻訳」されてしまったのである。
▼根底にはむしろ、日本人の「米信仰」のようなものがあったようだ。しかしそれから60年近くがたち、食生活も多様化してきた。パンやウドン、即席めんと「麦」の占める割合がうんと増えたのだ。「所得云々」はともかく、池田発言も今なら案外見直されるかもしれない。
▼その麦−小麦の値段が大幅に上がる。農水省が4月から製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格を30%もアップすると発表したのだ。昨年に続く引き上げで、食パンやめん類の値上がりは必至のようだ。関西では、たこ焼きがどうなるかも心配されているという。
▼今回の値上げの最大の理由は豪州での2年続きの干魃(かんばつ)にあるらしい。だが他にも、バイオ燃料ブームにより米国で小麦よりトウモロコシを生産する農家が増えたり、中国が自国消費優先で輸出を規制したりという事情もある。とにかく世界は大変な小麦争奪戦なのだそうだ。
▼池田発言を逆手にとって急に「これからは米本位で」というわけにもいかない。平成18年版農業白書は、古い耕地に穀物を植えていくことなど、食料自給率アップの方針を打ち出している。たとえ泥縄のようでも急がねばなるまい。
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