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【話の肖像画】最先端のサキへ(4)シャープ元副社長・佐々木正さん
■武士の気概を技術に
≪シャープを引退後、79歳で国際基盤材料研究所(川崎市)を設立し、当時ほとんど知られていなかったナノテク研究に邁進(まいしん)した。5年ほど前、その研究所を訪ねたとき、普通の技術者ならば発想しないような精神論を聞いた≫
−−独特の精神論に驚きました
佐々木 ぼくは確か、補助金を受けるような技術は「技術者の恥」と言ったのでしょう。ソーラーパワーの装置を一般家庭でつけると補助金がでるなど…。補助金付きの開発は本来の姿ではない。補助金がないと成り立たない産業は、何かが足りない証拠と思わないといけない。
−−その発想は武士の出に関係しているのでは
佐々木 武士の誇り高さでしょうか。祖父は旧浜田藩(島根)の士族の出身でした。浜田城は落城し、憂き目をみました。父は商人として生計を立てましたが、武士の誇りを片時も忘れなかった。幼いぼくにも剣道の修業など武士の心を徹底的にたたきこもうとしましたね。
−−時代を経てナノテクに
佐々木 10億分の1メートルの単位ナノテクなら新しい時代を担えるという思いですね。新技術なら、補助金のいらない新エネルギーを担えるかもしれない。川崎に研究所を設立するきっかけになったのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のM・ドレッセルハウス教授の助言があった。「これからはナノテクになる、日本は商品化するのがうまいから、センターは日本で」ということになった。
−−成果はどうですか
佐々木 ひとつはロシア人ら国際的な人材が育ったこと。母国に帰って第一線の研究を続けている。それとナノバイオという応用技術を研究できたこと。ナノの化粧品が普通に売られていますが、そういう基礎をつくったという自負もあります。
−−注文をつけたい商品はありますか
佐々木 携帯電話ですね。電車に乗ると、「心臓ペースメーカーに影響がありますので近くでの使用を控えてほしい」というアナウンスがありますね。確かにマナーの悪い人はいけない。ただ、メーカーにも怠慢がある。ペースメーカーに悪影響の可能性があるのなら、近づいても影響を及ぼさない機械をつくらないといけない。
−−ほかには?
佐々木 エアコンもぼくに言わせれば、まだ完成した域にはない。温度調整は、人間の体感に合わせることができていない。夏に冷房を入れて寒いなんてそれは機械の方に改良の余地がある。機械の方が人間に近づかないといけない。(大家俊夫)