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【主張】アホウドリ 移住計画を成功させたい
一度は絶滅したと思われた大型海鳥のアホウドリが本格的な復活に向けて新たな一歩を踏み出すことになった。
新繁殖地の開拓を目指して今月中旬にヒナの移住作戦が行われる。伊豆諸島最南端の鳥島から、さらに南の小笠原群島の聟島(むこじま)に今年生まれた10羽のヒナが空輸されるのだ。
山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)と米国魚類野生生物局による日米の共同実施に声援を送りたい。
アホウドリは、翼を広げると2・5メートルに近い大型海鳥で、北太平洋全域に分布していたが、羽毛を目的に数百万羽の乱獲が行われて激減し、第二次大戦直後には絶滅宣言が下された。
その後、鳥島で数十羽が生き残っていることがわかり、東邦大学の鳥類学者、長谷川博教授らによる保護活動が始まった。その結果、個体数が増え始め、約30年がかりで2000羽を超えるまでに回復している。
しかし、アホウドリが卵を産んでヒナを育てる繁殖地として利用している無人島の鳥島はAランクの活火山で、近い将来に大噴火が起きかねない。約半年におよぶ繁殖期に噴火すれば、アホウドリは再び絶滅の危機にさらされるため、新たな繁殖地の確保が求められていた。
その新天地に選ばれたのが、やはり無人島の聟島である。かつては、ここも繁殖地のひとつだった。聟島では山階鳥類研究所の研究者が5月の巣立ちまで、親の代わりに餌を与えながら、野外飼育を行う。
巣立ったヒナが成鳥となり、聟島を故郷と信じて繁殖に戻ってくるようになれば、火山の噴火を心配することなく、完全復活に必要な5000羽の水準回復が期待できるようになる。
聟島での繁殖を確立するには毎年、ヒナを鳥島から移送することが必要だ。今年から5年間の継続を計画しているが、日本の予算が心もとない。
今回の移住活動の費用の大半は、米国側の工面によるものだ。すべてを米国頼みでよいのだろうか。活動域が米国の海にも広がる鳥とはいえ、繁殖地が日本にある以上、環境省も復活促進の予算を計上すべきであろう。
保護されるべき鳥はトキだけに限らない。環境問題も地球温暖化のみにとどまらない。