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【街物語】(9)少女の人身売買を告発した“夜回り組長” (1/3ページ)
「24時間眠らない街」「不夜城」と称される新宿・歌舞伎町。華やかさと危うさが交差するこの街で、石原伸司(69)はいつものように少年、少女たちに声をかけていた。指定暴力団の元組長。現役時代は恐喝、銃の不法所持、傷害致死など数々の犯罪を重ね、獄中での生活は20年以上にのぼるが、いまは「罪滅ぼしの意味も込めて」、非行に走る少年たちの更生に力を尽くしている。「周りからは“夜回り組長”なんて呼ばれてます」
昨年9月、暴力団組員が少女2人を奄美大島へ人身売買していた事件が発覚した。彼女たちが島から逃れ、真っ先に連絡をとったのが石原だった。
2人が島へ売り飛ばされる前の5月下旬、歌舞伎町で見かけていた。「お前ら、ここで何をしてるんだ」。問いかけに少女はけげんそうな表情で答えた。「働き口を紹介してもらっているだけ」。一見してやくざと分かる男と話しこむ少女。直感的に違和感を覚えた。「何か変だ」。悪い予感をぬぐえないまま、その場は名刺を手渡しただけで別れた。それから約1カ月半後。突然かかってきた電話の内容は、数々の犯罪に手を染めてきた彼でさえ絶句するほどの非道なものだった。「奄美大島に連れて行かれ、客を取らされた」。すぐに警察に届け出ようとしたが、2人は家族や友人への被害を恐れ、通報を拒んだ。それでも「大丈夫だ。必ずおれが守ってやる」と説得した。報復による身の危険も感じたが、「損得ではない。ここで泣き寝入りしたら、また同じようなことが起こるかもしれない」。闇に埋もれかけた事件はこうして明らかになった。
「出会いは人生の宝」。彼が繰り返し使う言葉だ。夜回りで出会った人間には必ず、連絡先を書いた名刺を渡す。「心も通じないうち、いきなり悩みを聞くことはできない。何かあったときに連絡してくれればそれでいい」




