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【探訪】海の大動脈、照らす最古の光 静岡・下田港沖 神子元島灯台
伊豆半島・下田港の沖合11キロに浮かぶ神子元島(みこもとじま)(静岡県下田市)は夕闇にすっぽり溶け込んでいた。ヘリコプターからの肉眼では見えない。しかし、高感度デジタル一眼レフカメラで撮影すると、岩礁に砕け散る白波や、座礁した貨物船の無残な船体が浮かび上がった。
島の標高は30メートル、最長部でも400メートルのこの無人島には1本の樹木もない。岩場に立ち、明治、大正、昭和、平成と海の安全を守り続けてきた神子元島灯台が「島の主」としての存在感を示していた。
周辺海域は潮流が速く岩礁が散在する海の難所として知られている。幕末に訪れたペリー艦隊は「ロックアイランド」と呼び、長い間航海上最も重要で危険な海域と恐れられてきた。
明治3年、神子元島灯台は真っ暗な海に一条の光を放った。幕末に欧米列強国との間で締結された江戸条約(慶応2年)により建設が決まった、潮岬、観音崎など8基の灯台の1つ。中でも神子元島には最も多くの費用が投じられ、点灯式には大久保利通や木戸孝允ら明治の元勲も参列して完成を祝った。
当時の灯台は植物油を燃やして光源としていたが、やがてガス、電気へと移り、平成14年には太陽光発電による自然エネルギー灯台に生まれ変わった。高さ23メートル、灯台の光は約36キロ先まで届く。現存する石造り灯台としては国内最古。平成10年には「世界の灯台100選」に選ばれた。
現在、神子元島周辺を航行する船舶は1日平均500隻。レーダーやGPSなど、ハイテク機器が備わっていても事故は絶えず、灯台の重要性は変わらない。
下田海上保安部の中村直人交通課長は「過去から現在に至るまで、航行する船舶にひとつの安心感を与えてきたのが、この灯台」と説明する。海の大動脈を支える灯台は、今もロックアイランドで光り続けている。(写真報道局 奈須稔)



