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【産経抄】1月13日

2008.1.13 02:15
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 大阪・船場の火鉢店に奉公していた松下幸之助少年がお使いで外出したとき、前を路面電車が横切った。「これからは電気の時代になる」と直感した少年は、当時の大阪電燈の見習工として「電気」について勉強を始める。明治末のころである。

 ▼その後、松下電気器具製作所を設立し「二股ソケット」で当てた話は有名だ。戦後は炊飯器や洗濯機などいわゆる「白物家電」で飛躍する。「ナショナル」の全盛期だった。当時の幸之助氏は「私は日本の婦人を台所から解放したのです」と胸を張っていたという。

 ▼そんな伝統を持つ松下電器産業が系列会社を含め、社名とブランド名を「パナソニック」に変更・統一することになった。「松下」も「ナショナル」も消えていく運命にある。台所から「解放」された「ナショナル」ファンから「なぜだ!」という声が起きても当然だろう。

 ▼しかし会社側の説明によると、これも避けて通れない関門のようである。海外、特に欧米での売り上げが他の日本企業ほどに伸びない。それは社名やブランド名が松下、ナショナル、パナソニックに分散し、ブランド力が発揮できていないからと分析している。

 ▼そこで国際的には最も浸透している「パナソニック」に統一、薄型テレビなどでもう一度世界に打って出るということらしい。新社名は「あまねく響く音」という意味である。「松下電器」にはもはやローカルなイメージがあるというのが共通の認識のようだ。

 ▼もとより、苛烈(かれつ)な国際競争に感傷や郷愁は無用だ。とはいえ、火鉢に始まり路面電車から二股ソケット、洗濯機、薄型テレビまで「松下」の歩みは日本の生活文化史そのものと言ってもいい。そんな歴史もどこかにそっとしまっていてほしい。

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