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【街物語】(4)「天然コケッコー」漫画のままの田舎 島根県浜田市 (2/3ページ)
物語の軸は大沢と村の少女、右田そよとの恋愛模様だが、作中で登場する家や店、行事などはほとんどが、三隅町の岡見集落やその周辺の浜田市内に実在するものがモデル。
実際に同市を訪ねると、郵便局や商店、喫茶店、そよと大沢の家などが物語とほぼ同じ配置で存在し、登場人物を連想させる名字も見つけることができる。
「こだわったのは人づくりと町づくり。読んでくださる方がそこの住人になれるように」
そんなふさこの思いが伝わった。
連載が評判を呼ぶと、「天然コケッコー」の世界を一目見ようと、この小さな集落にカメラを手にしたファンが全国から駆けつけるようになった。
「半径100メートルの範囲。ここに『天コケ』の世界が詰まっている」
岡見集落の「メーンストリート」で両手を広げてこう話す市立石正美術館の主任学芸員、神(じん)英雄(53)は自他ともに認める、ふさこの大ファンだ。
8年前に京都から引っ越した家が偶然、ふさこが夏を過ごした親戚宅だった。それが縁でそれまでなじみのなかった少女漫画を手にとり、「天コケ」ワールドに完全にハマってしまった。
「この土地が、ここの人たちが本当に優しく描かれていた」
岡見集落で暮らし始めたころのこと。ある朝、神はダイコンやブリが入った箱が玄関前に置かれているのを見つけ、面食らった。誰がくれたのだろう。
「『いっぱいとれたから食べんさい』ということ。ここではそれが当たり前。よそ者である私にとって、すべてが輝いてみえた」
石正美術館は14年、原画を展示した「くらもちふさこ展」を開催。地元の人々はこの時、自分たちが漫画に描かれていることを初めて知る。
さらに、地元ロケによる実写映画化の話が持ち上がった。神の奔走もあり、地元の全面協力で撮影された映画は高い評価を受け、複数の映画賞に入選する。
ロケ地選定などを支援したNPO法人「石見フィルムコミッション」の岩崎理恵(43)は、陸の孤島といわれてきた場所だからこそ、地域のつながりなど変わらない良さが残ったのだと今は思う。
「田舎は田舎のまんまでいい」










