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【産経抄】1月4日

2008.1.4 02:48
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 ライスにウスターソースをかけただけの食べ物を「ソーライス」と呼ぶ。昭和恐慌の時代に、大阪を中心に流行した。「お断り」の食堂が相次いだが、阪急百貨店の大食堂は、ライスだけの客も歓迎して、福神漬けまで付けて出した。小林一三社長が残した美談である。

 ▼戦前の少年小説に出てくる貧しい主人公が弁当に詰めていたのは、「醤油(しょうゆ)ライス」だ。高橋哲雄甲南大学名誉教授が、当時のことを確認しようとインターネットで調べていて驚いた。両方とも今ではB級グルメの雄としてもてはやされているではないか。

 ▼高橋さんは、けしからん、とは言わない。むしろ、飽食と「窮乏の予兆」が入り交じる現代が生んだ若者の食文化に対して、「元祖のそれより深い哀愁の影をかぎとる」という(『東西食卓異聞』ミネルヴァ書房)。

 ▼今、世界的な食糧の争奪戦が始まっている。その背景には、経済力をつけた中国の輸入の増大と、穀物をバイオ燃料生産に投入する動きがある。温暖化による気象変動は、もっと不気味だ。食料自給率が39%にすぎない日本の輸入がストップする事態だって、あり得ないことではない。

 ▼農林水産省では、国内生産物だけで最低限のカロリーを確保する食事のメニューをホームページで紹介している。東北大学で食糧安全保障を勉強している学生グループらが、それを再現して、学内の食堂で出す計画を進めているという。

 ▼学生たちの多くは、エビ、カズノコ、マグロなど輸入品に頼るおせち料理を堪能したばかり。イモ中心のメニューに顔をしかめるのか、それとも意外な美味を発見するのか。いずれにしても、貧乏でも、将来に希望が持てた昔の日本には戻れない。その覚悟をかためるいい機会かもしれない。

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