ニュース: 生活 RSS feed
【街物語】(3)白神山地に生きるマタギ「欲張らない」山の掟を教える (2/3ページ)
このニュースのトピックス:街物語
そんな目屋マタギたちの「転機」は思わぬ形でやってきた。平成5年、世界最大級のブナ原生林が広がる白神山地の一部が、屋久島とともに日本で初めての世界自然遺産として登録されたのだ。
「核心地域」と呼ばれる中心部での狩猟や採集活動は大幅に制約された。クマの狩猟頭数は減り、「有害鳥獣駆除」名目で、1年に数頭しか認められなくなった。動物の居場所に応じて拠点にするため、国有林を無断で切って建てていたマタギ小屋も、中心部から遠く離れた私有地の1カ所のみに減らすことを余儀なくされた。
16年になると核心地域を囲む「緩衝地域」のクマ狩猟も禁止になった。テントを使って日帰りで狩猟を行うことが増え、目屋マタギにとって1つの時代は終わった。
「白神では林道やダムの建設が長年問題になってきた。山がさらに開発されていた可能性を考えれば、これで良かった」。そう複雑な胸の内を明かす。
一方で、世界自然遺産登録を機に「山を案内してほしい」という依頼が増え始めた。工藤は仲間のマタギ2人とともに、任意団体「白神マタギ舎」を設立し代表に就任。「エコツアー」のガイドを名乗り、正式に活動を始めた。
「山での活動が制約されてきたうえ、大勢いた先輩が開発による移転でバラバラになっている。何百年も目屋マタギが続けてきた山との付き合い方を、何とか残したい。そう思ってガイドをやることにした」
エコツアーは大々的に宣伝していないが、参加者は口コミで徐々に増え、現在は白神マタギ舎全体で年間約1000人をガイドしている。シンプルな薪ストーブといろりがあるマタギ小屋の宿泊体験も、都会からの観光客らに人気だ。














