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【やばいぞ日本スポーツ】(2)貧弱な国の支援 芸術と格差、先進国とは歴然
平成20年度の予算折衝が始まる今月初旬、日本オリンピック委員会(JOC)の福田富昭選手強化本部長は、いち早く入手した最初の財務省案の一部を目にして、愕然(がくぜん)とした。
「これで戦えというのか…」。文部科学省が要望したスポーツ施策に対する財務省の最初の回答には、予想外の数字が並んでいた。
JOCをはじめ関連団体が重視していたのは、年明け早々の1月21日、東京都北区にオープンするナショナルトレーニングセンター(NTC)の関連施策だった。NTCは欧米並みの強化育成環境構築を目指す、いわば日本スポーツ界の拠点である。その目玉となる3事業のうち、2事業までが「ゼロ回答」だった。
ジュニア世代から代表コーチがついて選手育成を図る「エリートアカデミー」▽引退した選手のセカンドキャリアを支援する「キャリアアカデミー」▽プロコーチを雇用・育成する「ナショナルコーチアカデミー」。このうち、エリートとキャリアの2アカデミーに予算はついていなかった。
トレーニング機器等の整備費約52億円に対する8億円回答など、気になる数字はほかにもあったが来年4月に卓球とレスリングで開校を予定するエリートアカデミーは何としても復活させたい。陳情にはJOCや日本体育協会だけでなく競技団体も動員、日本水連の佐野和夫専務理事は衆参の議員会館を回り、議員約60人に訴えた。
そのかいあって、20日、公表された財務省原案で2事業は救われ予算化されていた。「ありがたい。何もしていなければ、削られたままだった…」。福田本部長は胸をなでおろした。
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「国の支援」というときスポーツ界には忸怩(じくじ)たる思いがある。芸術、文化との格差だ。文化庁予算は15年度以降、1000億円を超えているのに対し、19年度のスポーツ関係予算は約180億円。選手らの在外研修制度にも補助金は出ない。JOCの自己財源だ。「スポーツは感動や夢を国民と共有し健康増進や医療費抑制にもつながる。なのに、この差は一体、何なんだ」。福田本部長は憤る。
他の先進国と比べれば歴然としている。例えばNTC整備である。
アテネ五輪での金メダル獲得数上位10カ国のうち、NTC完成は日本が最も遅い。英国は1951年、韓国は66年、フランスは75年と、設立は早く、施設利用料や宿泊費、食費はほとんどの場合、国が負担する。韓国はトレーニングすると日当までが支給される。ところが日本は有料。スペースに応じて年間使用料が設定され、NTCを利用する12競技団体で負担額は計2283万円余。この12団体の一昨年の国内会場費の総額が計約1000万円だったことを考えれば、負担は大きい。これとは別に宿泊費や食費も必要だ。
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北京での成果を踏み台に2016年の東京五輪招致まで視野に入れるJOCにとって、強化拠点整備は国家的事業といってよかった。だが、力こぶをつくるのはスポーツ関係者ばかりだ。
才能発掘や育成方法の研究を国策として取り組んでいるという豪州は人口約2000万人ながら、アテネ五輪のメダル数で日本を上回ったように、メダル争いに加わるのなら国の支援は欠かせない。
元NHKアナウンサーで現在、スポーツアナリストとして活躍する西田善夫氏は「NTCオープンは『スポーツは国民に感動を与えるもの』との認識が高まってきたから。確かにスポーツに対する予算は少ないが、ようやく始まったこの方向性にどうしたらもっと拍車をかけられるかを各競技団体などは考えるべきだ」と指摘する。