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【正論】「ネット」と新聞 「スローフード」の新聞の味 同志社大学教授・三木光範 (1/3ページ)
独自の魅力を強化して生き残れ
≪速報、マルチではウエブだが≫
時計の中に何が入っているのか。ゼンマイと歯車?あるいは水晶と電子回路、それとも標準電波JJYの受信機? 時計を使う一般のユーザにとって、それは興味がない。重要なことは現在の時刻が分かるということだ。自動車では、アクセルペダルを踏むと、車のスピードが上がるという因果関係が重要であり、ガソリンエンジンの吸気量が増加するのか、電気モーターの電流が増加するのか、それはどうでもよい。
コンピューターもまさしくそうだ。プロセッサがペンティアムなのか、メモリやハードディスクが何ギガバイトあるのか、OSがウィンドウズかマックか、そんなことはどうでもよい。
われわれの身の回りのシステムは最近、ますます複雑となり、もはやそれらの構造や動作原理を知ることができなくなってきた。知っているのはそれらの機能(はたらき)だけであり、それを得るための操作の方法(ユーザインターフェース)だけがシステムそのものとなる。テレビはドラマやニュースを映し出す大型の液晶パネルと番組選択のためのチャンネルボタンが付いたリモコンだけの存在となり、携帯電話は友人や恋人を呼び出すボタンと、相手からの言葉表示機となる。
インターネットが発達した現在、人々に情報を伝えるメディアの種類は大きく変換した。新しいニュースを伝える新聞は、速報性という観点からインターネットで配信されるウエブ・ニュースに対して勝ち目はない。一方、音声や動画など、マルチメディアという観点でもインターネットは圧倒的な強さを持つ。さらに、インターネットは双方向通信で時間遅れなく、読者の反応が得られる。
≪数百年続いた伝統に活路≫
もはや従来型のメディアである「新聞」は、どの局面をとってもウエブ・ニュースに勝てず、やがてなくなる運命にあるのだろうか。
速報性、マルチメディア性、そして双方向性という観点からはこれら両者の勝敗は明らかである。

