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【産経抄】10月29日

2007.10.29 03:17
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 「父が取った行動は間違ってなかったと思います」。東京都中野区のポレポレ東中野で公開中のドキュメンタリー映画「ハダカの城」の初日、あいさつに立った甲太郎さん(25)の話しぶりは自信にあふれていた。

 ▼父の西宮冷蔵社長、水谷洋一さん(53)は、平成14年1月に雪印食品の牛肉偽装を公表した人物だ。その後取引先が次々と離れていき、会社は廃業に追い込まれた。このまま辞めてしまえば、社会悪を告発する勇気をもつ人がいなくなる。

 ▼水谷さんがJR大阪駅前歩道橋で、再建支援を訴える座り込みを始めたのは、そんな思いからだ。映画は、16年4月に営業再開を果たすまでの水谷さんの奮闘を追う。当初は心細げに父親に付き添っていた甲太郎さんが、みるみるたくましくなっていく姿が印象的だった。

 ▼このところ、父親の役割とは何か、考えさせられる出来事が続いている。ボクシングの「亀田騒動」では、3兄弟の父離れが始まったらしい。それでも長男(20)は、謝罪会見に出てこなかった父親を、「世界一のオヤジ」とかばった。

 ▼ベストセラーとなった『ホームレス中学生』の中で、お笑いコンビ「麒麟」の田村裕(ひろし)さんが、中学生時代に公園で生活した経験をつづっている。家族の解散を宣言して姿を消した父親に恨みはないという。「幸せのハードルを下げることを学んだから」。インタビューで語った言葉は泣かせる。どんな父親であれ、子供はその背中を見て育つ。

 ▼水谷さんは今、昨年事故に遭い、リハビリに励む甲太郎さんの妹の介護にかかりきりだという。従業員8人の先頭に立つのは専務の甲太郎さんだ。「正しいことは正しいと勇気をもっていえる集団になりたい」と張り切っている。

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