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【産経抄】10月27日
このニュースのトピックス:NOVA商法
歯切れのいい論評で知られる金美齢さんが『夫婦純愛』(小学館)という本を上梓(じょうし)された。1年前に先だたれた夫の周英明さんの思い出を描いたものだ。40年以上も支え合った「純愛」がほのぼのとして伝わってくる。夫婦の絆についても考えさせる。
▼お二人を結びつけたのは「留学」だった。台湾から日本にきている留学生組織の幹事役の選挙で、金さんが周さんに投票したのがきっかけだという。留学して台湾独立派に傾いていた金さんが、周さんのことをやはり独立派シンパと感じ取ったためだった。
▼たかが留学生の幹事選びではなかった。当時、独立派は国民党政府から厳しい監視を受けていた。そうした中で日本への留学生たちは密(ひそ)かに独立運動を行っており、選挙もその舞台であった。言ってみれば、若い留学生二人が「同志」的に近づいていったのである。
▼台湾だけでなく、かつて「留学」は重い意味を持ち、ドラマを生んだ。明治4年「岩倉使節団」とともに海を渡った留学生たちは、明治の国づくりという重責を担っていた。孫文による中国の辛亥革命では、日本に留学してきていた中国人たちが大きな役割を果たしている。
▼英会話学校NOVAの「駅前留学」にはむろんそのような響きも意味もない。ほんとの「留学」をしなくとも簡単に英会話を学べる。金も時間もないという人たちにはむしろ「福音」のように聞こえるキャッチフレーズだった。若い人の人気を集めたのも無理はない。
▼しかし、その人気に乗って拡大戦略を続けたことが破綻(はたん)を招いた。受講生はどんどん増やしたのに、教師や管理システムが追いつかなかったという。してみると「留学」という魅力的に聞こえる言葉にも、罪があったのかもしれない。