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ライフ
【著者に聞きたい】「中国嫌いの人読んで」 中国で最も有名な日本人、加藤嘉一さん著『われ日本海の橋とならん』
中国現体制を内側から見る
「この本を読んでほしいのは、中国が嫌いな人」。“中国でもっとも有名な日本人”と呼ばれるという著者は、27歳。大きな身ぶり手ぶりを交えて語り、自ら恃(たの)むところすこぶる厚い。
高校卒業後、単身、北京大学に留学。2005年の反日デモの最中、中国の全国ニュース番組に出演し、流暢(りゅうちょう)な中国語とクレバーな応答で一躍人気者に。いまや年間300件以上の取材を受けるという中国メディア界の寵児(ちょうじ)だ。中国語著作は数冊あるが、日本語の単著は本書が2作目となる。
「反日デモは純粋な反日活動ではなく、根底にあるのは反政府。反日世論が強まれば強まるほど、中国政府が困る」。民主的に成立していない政府ゆえに、かえって体制転覆を恐れて民意に神経質になるという逆説だ。日本の外交チャンスは、そこにあるとみる。
「日本人が思っている以上に中国には自由がある」と説く著者だが、政治的な発言範囲はもちろん限られている。その枠は踏み外さないが、中国で生きる日本人としてぎりぎりのラインで発言し、大衆と知識人の双方に影響を及ぼせる“ストライクボール”を狙う。
中国社会を読む切り口としては、北京から地方都市まで、あらゆる街にいる「暇人」階層に注目する。農民でも労働者でもなく、失業者とも少し違う。収入僅少だが持ち家があるので食うには困らず、平日の昼間から路上や公園にたむろする。こうした地域住民が、著者の目算によると中国全土に3億人はいるという。
「中国の政治が動くとき、それは暇人が動くときです。歴代王朝もそれで倒れてきた」。政治変革など期待せず、社会参加もしない従順な人民だが、食っていけない事態になれば暴れ出す。この層をうまく“生かさず殺さず”の状態に保っていけるかが、共産党体制存続のカギとなるという。中国の現体制を内側から見る特異な立場にいる若き日本人の中国論だ。(ダイヤモンド社・1575円)
磨井慎吾
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【プロフィル】加藤嘉一
かとう・よしかず 昭和59年、静岡県生まれ。平成15年、北京大学の国費留学生に。同大大学院修了。同大研究員、英紙フィナンシャル・タイムズ中国語版コラムニストなどを務める。
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