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放置竹林を“宝の山”に 広がる用途 強度・吸湿性…工業製品や飼料に

2009.1.15 08:05
家畜飼料の原料にもなる竹の粉末を持つ亜岐健司社長家畜飼料の原料にもなる竹の粉末を持つ亜岐健司社長

 放置竹林を“宝の山”に転換しようと、竹の伐採を生業とする企業が登場した。工業製品の代替材料や家畜の飼料など竹の用途は広がる一方で、国内の竹林は個人所有が多いため大量に確保することが難しい。竹を利用したい企業と竹林の所有者や地域をつなぐ仲介役として、竹材を安定供給し、周辺の自然環境を壊す恐れもある放置竹林の解消につなげるのが狙いだ。(日野稚子)

 林野庁の調査によると、平成19年3月末現在の国内の竹林面積は15万9201ヘクタールで、タケノコ生産に利用されたのは全体の約12%。竹材生産には約22%が使われており、タケノコ栽培との重複面積がどれほどかは不明だが、単純にみて未活用の竹林は約7割に及ぶ。

 「竹林所有者はほとんどが個人で、竹が工業製品の材料などとして有効活用できることを知らないケースが多い。地域おこしにもつながるのに惜しい」。こう語るのは、昨年8月に竹伐採専門会社「バンブージャパン」(岐阜県各務原(かかみがはら)市)を設立した社長の亜岐健司さんだ。

 放置竹林の問題を知ったのは13年前。近所の荒れた竹林を見かね、景観維持のボランティアとして伐採を申し出たのがきっかけだった。「所有者が点在する竹林から、環境保護が主眼のボランティア頼みで細々と伐採を行うのでは、企業は材料の安定確保を望めず、竹の価値も上がらない」。亜岐さんは全国展開を目指して起業した。

 仕組みは、5年後に再び竹が収穫できるよう計画を立て、伐採費用を無料にする代わりに、切り出した竹を無償で引き取る。伐採効率を上げるため、申し込んだ個人や地域が伐採1回当たり最低100ヘクタールを確保するのが条件だが、山口県や三重県などで契約が成立したほか、全国から相談が寄せられているという。

 伐採した竹を材料として引き受ける企業も見つけた。そのうちの一社「ジンアーキ」(広島市)は、竹繊維を製造している。ポリプロピレン製品の補強材として使うガラス繊維の代替材料として注目を集めている。同等品のガラス繊維と比べ強度が高く、他の植物繊維と比べ吸湿性が低いのが強みだ。同社製のこの竹繊維は、三菱自動車の次世代型電気自動車「アイミーブ」(研究車両)に、リアゲート内装材の補強材として採用されている。

 ジンアーキの吉田善浩会長は「竹繊維を使いたい国内外の製造メーカーは多く、引き合いもある。しかし、これまでは国産の竹を大量に安定確保するのは難しく、中国工場が生産の主力。今回の取り組みを後押し、足元の竹資源を生かしたい」と話す。

 愛媛県農林水産研究所畜産研究センターは、粉末化した竹にしょうゆと豆腐のカスを配合し、従来の輸入品に代わる新しい家畜飼料を開発した。牛での実証試験を1年続けており、家木一主任研究員は「栄養価を輸入飼料と同じにしたので、牛乳の搾乳量も変わらない。農家が使える価格で提供するには、竹の安定供給が欠かせない」と分析する。

 竹の新規事業の立ち上げなどを支援する社団法人中国地域ニュービジネス協議会(広島市)の竹内善幸さんは「竹材の活用法は増えているが、誰が竹を切り出し運搬するかで壁にぶつかる。壁を乗り越えるためにも、バンブージャパンのような活動は重要」と話す。

 バンブージャパンの計画では当初、月2万トンの供給が目標で、今年3月から出荷を始める。亜岐さんは「いずれは地元の人たちが伐採した竹を買い取って、求める企業に卸す形に切り替え、竹林を地域の財産にしたい」と意気込んでいる。

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家畜飼料の原料にもなる竹の粉末を持つ亜岐健司社長
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