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【探訪〜あの日あの時代】扇形機関庫活用へ“出発進行” 大分県玖珠町
割れ落ちたガラスを踏む足音が、廃虚と化した機関庫内に響いた。格子窓にはツタがからみ、さび付いた転車台が、時の移ろいを感じさせる。
豊後森(ぶんごもり)機関庫(大分県玖珠町(くすまち))は、久留米と大分を結ぶ久大線の豊後森駅構内にあった。完成は昭和9年。蒸気機関車を格納し、石炭や水の補給基地として活躍した。
機関庫は扇形で、円形の転車台で機関車の向きを変えて格納する。レールこそ撤去されているものの、天井には排煙装置も残り、往時の様子を想像するのは難しくない。全国に建設された扇形の機関庫も、双方向に進める機関車の登場で相次いで廃止され、九州では玖珠町だけに残されている。
機関庫のそばに住み、保存活動をしている河野博文さん(56)は「機関庫はいつも子供たちの遊び場でした」と当時を懐かしむ。学校のスケッチ大会では皆が競って機関庫を描いた。
昭和23年の最盛期には25両の機関車と200人を超える職員を擁した機関庫も、ディーゼル機関車の登場でその役目を終え、昭和46年に廃止された。同時に「鉄道の町」として栄えた玖珠町も衰退する…。
廃虚のまま放置されてきた機関庫にいま、転機が訪れている。平成18年、取り壊されそうになった機関庫を玖珠町がJR九州から買い取ったのだ。財政面や建物の耐震性など課題は山積しているが、町では残された鉄道遺産をどう活用するのか模索中だ。
この夏、機関庫のライトアップが始まった。保存活動は走りだしたばかりだ。いつかまた、子供たちのスケッチブックに描かれる日がやってくるかもしれない。(写真報道局 奈須稔)
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「探訪」の動画は「産経ポッドキャスト」http://podcast.sankei.co.jp/でご覧になれます。
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