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【バイオテクノロジー最先端にのぞむ フランダースの取り組み】(上) (1/2ページ)

2008.7.1 08:13
このニュースのトピックス言語・語学

 ■“資源”は人材と知的財産 大学連携し産業化推進

 ヨーロッパの民族、言語、文化の十字路にあるベルギー北部のフランダース地方はいま、バイオテクノロジーの分野で世界の最前線に立つ。資源に乏しく農作物の耕作面積も狭いため、頼れるのは人材や知識を生かした産業という土地柄は、日本とよく似ている。フランダース地方に最先端の研究を訪ねた。(平沢裕子)

 フランダース地方は、首都ブリュッセルを含む北部の地域で、1万3500平方キロメートルと日本の四国より少し小さい面積に約600万人が住む。国の外交や社会保障についてはベルギー王国政府が決めるが、各地域の経済や社会の仕組みは地域独自の自治機関が決めることができ、最先端技術の研究や産業への取り組みは「フランダース政府」が音頭をとって行っている。

 この地方がバイオテクノロジーの分野の研究で国際的な評価を得るようになったのは、主要4大学(ゲント、ルーベン、ブリュッセル自由、アントワープ)の研究部門を組織化した大学間バイオ研究機関「VIB」の設立によるところが大きい。VIBは、大学の研究成果を産業利用することなどを目的にフランダース政府が1995年に設立。現在、48カ国・地域から集まった約1000人の研究員を4大学に派遣している。重点的な研究内容である植物科学や遺伝子治療の分野では日本の大学との研究交流も盛んで、少数だが日本人研究員もいる。

 研究成果の特許申請や産業界との共同事業などを積極的に推し進めており、特許の申請数は設立前の15倍、研究の質の高さの指標である「ネイチャー」「サイエンス」など影響力の強い科学誌への学術論文の掲載は5倍となり、知的財産の技術移転は国内外の企業350社に拡大している。

 VIBの設立後、多くのベンチャー企業が生まれている。98年に設立した「クロップデザイン」(ゲント市)もその一つ。乾燥に強い遺伝子組み換えイネの開発を中心に行っており、現在はイネで得た技術をトウモロコシなど別の作物に応用するための研究に取り組んでいる。この研究は、遺伝子組み換え作物市場のリーダーである化学メーカー、モンサント社と共同で進めている。

 また、ゲント大学の研究室から97年に生まれた「デフゲン」(同)は、発生起源がヒトゲノムと70%程度同じ非寄生性の線虫の一種「Cエレガンス」に関するゲノム情報と膨大なデータベースを持つことで知られる。これらの知的財産をもとに農薬やゲノム創薬、遺伝子組み換え農作物などを開発、世界中の企業と提携し、事業を拡大している。

 VIB科学戦略立案部のリーベ・オンゲナ部長は「VIBや大学で生まれた知的財産は、世界と連携して国際的なビジネス展開をしていくことを視野に入れているため、最先端の研究に力を入れ、知的財産を世界に向けてアピールしていく必要がある」と、研究を支援する環境をさらに整えていく考えを明らかにした。

このニュースの写真

デフゲン社の栽培室で育てられている遺伝子組み換えのイネやキビ=ベルギー・ゲント市
遺伝子組み換え作物の将来像について語るゲント大学のマルク・ヴァン・モンタギュー名誉教授

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