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【めざましカフェ】漫画家・さかもと未明 給料は勝ち取るものよ!
最近、雇用崩壊ということが盛んにいわれます。若者はなかなか正社員になれないし、企業も派遣を安く使うしか手がないのが現実なのでしょう。労使ともに厳しい現実であるとは思います。
でも、フリーの漫画家で20年近くやってきた感覚としては、「それって普通」なのです。漫画は、人気があって仕事があればたくさん稼げますが、面白いものが描けないときはすぐに無職です。仕事があるときも、アシスタントを使った場合は先に支払いが発生しますし、運悪く取引先の出版社がつぶれて、支払いを受けられない場合も、もちろん出費は漫画家がかぶります。
作業を手伝ってくれるアシスタントは日払いか月給で、漫画家の仕事が切れれば仕事がなくなります。腕のいいアシスタントはあちこちからひっぱりだこで休む時間もありませんが、腕のない人は年に数日しか仕事がありません。でも、当然漫画家は腕のいいアシスタントが欲しい。ここで漫画家も2つの選択を迫られます。片腕となってくれそうなアシスタントを恒常的に雇って量産するか、自分で可能な限り描き込み、量産はあきらめるか。
私は前者を選びました。漫画の仕事がなくてもお給料の支払いは発生しますから、エッセーなどの仕事もさせていただきました。それでも安いお給料しか払えず、若者とけんかになったことがしばしばです。若い子の気持ちをケアできなかったせいもあるのでしょう、締め切り直前に飛び出され、号泣しながら人をかき集めたこともありました。
それでも真剣であることを認めてくれたからでしょうか、「労働条件は最悪ですけど、好きな仕事ですから一緒に頑張ります」と言ってくれるチーフに出会えました。彼女がいてこそ仕事ができるので、力の限り報いたいと思っています。労使が信頼し合えないと仕事はできないと、私は彼女に教わりました。
今も余裕はありません。新しくアシスタント志望の子が来てくれても、経験がない場合はお給料の設定もできません。どうしても、という子には言います。「最初は仕事がないので、出入りをしてくれるのはいいけれど、雇うのは無理です。でも自力で仕事を覚えて、役に立つところを見せてくれたら、それを見込んで私も仕事を増やしていくことが可能です」
私たちの業界では、雇用は自力で生み出すものなのです。特殊な業界といえばそれまでですが、私はそれが仕事と対価の本質だと思うのです。働く側はお給料をもらうのでなく、獲得する気持ちでなければ駄目だし、使う側も若者の責任を負うべきは当然でしょう。
雇用崩壊を、搾取する側とされる側、などという構図でとらえ、働く側を弱者と位置づけるのは、貧しい発想だと思います。価値ある人材になれば、当然雇用は生まれるし、企業に貢献すれば、それが安定雇用を生むはずです。
そこで、きちんと雇用しないような企業など見捨ててしまえばいい。搾取されたと感じたときは、安さ以上の利用価値を発揮できなかったのか検証すべきです。お給料は今や「もらう」ものではなく、「勝ち取る」時代なのだと思います。そしてそんな時代を嘆くより、自分のバリューを上げるべきなのです。そのとき労使という関係が、共に支え合う関係に変わるはずなのですから。(さかもと みめい)

