MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

【お江戸単身ぐらし】(135)半径5メートルの泣き笑い

2008.5.11 09:53
このニュースのトピックス国内女優

 「母の日じゃなくても、誕生日じゃなくても、あなたにいつもありがとう」

 さっきまでピアノの前で飛び跳ねながら元気な主婦ソングを弾き語っていたのに、急にしんみり歌い上げるものだから、あっという間にハートをわしづかみされてしまった。秦万里子さん、52歳シンガー。マンションの一室で開かれたサロンコンサートで、涙をこらえるのに苦労した。

 「ぜひご紹介したい歌手がいます」と案内をくれたのは読者の中村裕子さん(54)だった。自宅を開放して開くというコンサートの場所を訪ねると東京タワーが目の前に見える六本木の高層マンション。入り口に制服のコンシェルジュ(案内係)がいる。その六本木マダムがほれ込みプロデュースしているのが秦さん。「半径5メートル以内の主婦の日常を歌う」がキャッチフレーズの主婦シンガーだ。

 主婦シンガーだからといって素人芸ではない。国立音楽大学ピアノ科を卒業後、ボストンに留学してジャズを学び、育児をしながら音楽活動を続けてきた。数年前に中村さんと出会ってからは、主婦による主婦のための主婦コンサートを実施。手作りのCDも出し、マスコミにもボチボチ取り上げられるようになって、先月は500人のコンサートも成功させた。

 「石野さんのコラムを読んでいてきっと気に入ると思いまして」(中村さん)といわれては足を運ばざるを得ない。でも、うかうかと乗っからないぞ、と心を引き締めていたのだが。

 歌詞がリアル。「きらいな自分を捨てれる? 答えれる? れるれる」と変な日本語乱発の「ら抜き女のラプソディー」。「いわゆるひとつの更年期障害」に悩む女性に贈る「ホットフラッシュ」。そうそう、と思わずひざを打ちたくなる歌詞の連続。そこには思春期の双子を抱え、親の介護を背負う秦さんの日常が歌い込まれている。それらすべてを音楽に昇華するパワフルなピアノ。

 「愛や恋だけが音楽じゃない。私の歌を聴いて日ごろの憂さを晴らしてもらえれば本望」と秦さんはいう。集まった上品なマダムたちも大いに笑い、泣いていた。ハイ、私もすっかり取り込まれちゃいました。(編集委員・石野伸子)

PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。