ニュース: 生活 RSS feed
【きのうきょう】父のドーナツ
兵庫県南あわじ市 大窪夕起子 52歳 主婦
先日、紙面で手作りドーナツの記事を見て目頭が熱くなった。今は亡き父の得意料理というか、得意菓子がドーナツだった。
父は子煩悩を絵に描いたような人だった。休日になると判で押したように、父特製の練乳入りドーナツの甘い香りが家中に漂っていた。
材料は小麦粉、卵、ベーキングパウダー、そして練乳。砂糖は使わない。そのドーナツはふわっとしていて、味も香りも最高だった。子供心にいつも楽しみにしていたのを思い出す。
父亡き後、何度か同じ材料を使ってドーナツを作ってみたが、どこがどう違うのか、父の味とは似ても似つかぬものになってしまう。料理の醍醐(だいご)味は、まったく同じ材料でも、作り手によって、まずくもおいしくもなるというところだ。この記事に触発されたわけではないが、今また、父のドーナツに挑戦しようと思っている。