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【きのうきょう】商店街
東京都北区 植田由子 73 主婦
戦前から安いと評判だった近くの商店街は、スーパーマーケットができてから、まるでくしの歯が欠けるように一軒また一軒と店じまい。そしてついに私が小学校時代からお世話になっている手芸店まで閉店し、ボタンや糸も容易に買えなくなった。
パン屋さんに豆腐屋さん、つくだ煮屋さんは早朝がかき入れ時。呉服屋さんや食堂、おそば屋さんは夜遅くまで赤々と灯がともっていた。一杯飲んでご機嫌で呉服屋さんに入った父は、長話をして母のために反物を買った。毎月3の日に出る縁日は子供の好きな品々が並び、それはにぎやかだった。あのころの商店街は楽しかった。
編み物好きの母は糸を買ってきては、私に手伝わせて綛(かせ)から手に巻き付けて毛糸玉を作った。弟妹の多かった私は母を独占できたことがうれしかった。シャッターの閉まった店の前を通ると、そんな古き良き時代の思い出まで消え去ったことを感じる。