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【明日へのセーフティーネット】現場はいま(1)秋田連続殺人 (2/2ページ)
「いつもかったるそうで、ばさばさの髪にジャージー姿でだらしなく歩いてくる。それでも、自分なりには、子供のことをかわいがり、心配していたところもあった。そんな若い親ならたくさんいるでしょ」と、畠山親子が通っていた近所の食料品店の夫婦がいう。そして「それでも(彩香ちゃんが)お母さんのことを悪くいうのを聞いたことがなかったよ」とも話してくれた。
畠山被告は、さまざまなセーフティーネットの外で孤立感を深めていたわけではなく、むしろ保護のネット内にいたといえる。しかし、決して幸せではなかった。そして、わが子だけでなく隣人の子供まで不幸の巻き添えにした。
彩香ちゃんの遺体が見つかったのは藤里町を流れる藤琴川。春にはサクラマス、夏はアユが遡上(そじょう)する美しい川だ。
サクラマスのすむ川が映し出したのは、福祉に生活を支えられていながら、内面から崩れた母親の姿だったのか。どうすれば、どんな仕組みがあれば、2人の子供の命を救うことができたのか。
「前向きには考えたいけど、気持ちの半分では事件のことはもう忘れてしまいたい」。ある町内会長は、地元の会合でそう漏らした。
事件から1年以上たった今も畠山被告がなぜ子供たちを殺害したのか、動機は明らかになっていない。9月12日にようやく初公判が開かれるが、地域や福祉関係者ら巻き込まれた多くの人々はやりきれなさを抱えたまま、自問自答を繰り返している。
最後のセーフティーネットと呼ばれる生活保護制度の周辺では、さまざまな事件や問題が噴出している。第2部は、その現場から、制度のあり方を考えたい。
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