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【明日へのセーフティーネット】現場はいま(1)秋田連続殺人 (1/2ページ)
福祉制度 2児の命守れず
天然ブナ林が広がり、世界自然遺産にも登録された白神山地の玄関口、秋田県藤里町。ここで、平成18年4月から5月にかけて幼い子供2人が殺害される事件があった。小学校4年生の畠山彩香ちゃん=当時9歳=と、2軒隣に住む米山豪憲君=同7歳=を殺害したとして逮捕、起訴されたのは彩香ちゃんの母親、畠山鈴香被告だった。
畠山被告と彩香ちゃん2人の家庭の暮らしは生活保護で支えられていた。
逮捕3日前の6月1日、畠山被告が藤里町役場に姿を見せ、マスコミや警察が騒然となることがあった。町役場を訪れたのは、生活保護費を受け取るためだった。
畠山被告を直接担当していたのは、能代市にある県山本福祉事務所。彩香ちゃんの生前、畠山被告と同様の母子世帯モデルでは、生活費や住宅扶助として計11万円あまりが支給されており、これに医療扶助などが加わる。「ここらでは昼の仕事でそれだけ稼ぐのは大変。金銭的にはやっていけたはず」と、近所の住民はいう。
一方、彩香ちゃんが通っていた町立藤里小学校は、17年11月の時点で、「いつもおなかをすかせ、汚れた服を着続けている」と、畠山被告の養育能力を疑い、町に相談していた。担当した町の主任児童委員は9回、自宅を訪問し、畠山被告に3度会っていた。作り置きの夕ご飯のおかずを朝ご飯に使えばいいなどとアドバイスもした。畠山被告の方から悩みを打ち明けることもあったという。
「保護を受けているんだ。今のうちに体の調子の悪いところを治してしまおうと思っている」。畠山被告が、高校時代の同級生に電話でそう打ち明けたのは、勤めていたパチンコ店をやめ、長女の彩香ちゃんが小学校に入学したころだった。
「自己破産するために仕事をやめた」「子供が嫌い。一緒に寝ていて触られるのもいや」「もし再婚したら、彩香は実家に養子に出したい…」。そんなふうにも打ち明けていた。
「介護ヘルパーの資格を取る勉強を始めたんだ」。病に倒れた父親がリハビリを続けていたこともあったのか、畠山被告がそんな希望を周囲に話したこともあった。「がんばるといわれたら、その自主性を尊重しないとケースワークはできない。子供の教育ひとつとっても、型にはめるわけにはいかない」。秋田県の生活保護担当者は、あくまで一般論と断りながら、そう強調した。