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【断 中村文則】過剰なサービス

2008.3.15 03:38
このニュースのトピックスコラム・断

 どうして飲食店では、客の食べ終えたばかりの食器をすぐ下げようとするのだろう。

 正直、気分が悪くなる。居酒屋なら次々料理が来るのでわかるが、ファミレスなどですぐ下げようとするのはなぜだろう。しかも大抵の店員が、こちらの会話が弾んでいることにも構わずに、会話に割り込んで「お下げしてもよろしいですか?」と聞いてくる。大体、下げて欲しければ自分達で店員を呼ぶ。余計なお節介(せっかい)だし、はっきり言って邪魔である。まるで「帰れ」と言われているようで、混(こ)んでいたならわかるが、空いている店だと意味がわからない。「あなたの店にはそんなに食器が足りないのか」と思ってしまう。

 客は飲食と同時に、会話を楽しむために店に入る。店員は、客をそっとしておくのが一番いい。なのに店の責任者は従業員をやたら動かし、迷惑なのに客に干渉させ、それをサービスと勘違いしている。いちいち水を汲(く)みに来るのも、邪魔である。欲しければ自分で言うし、店員が来る度に会話が止まる。

 全体的に、日本の飲食店はつまらないサービスが過剰だ。客を見上げるようにし、片膝(かたひざ)をついて注文を聞きに来るような居酒屋がよくあるが、あれも鬱陶(うっとう)しい。たかがお金を払うだけの客に、なぜ膝までついて接客するのか。こんなことが広がっていったら、サービスを受ける側の人間全体が馬鹿になる。過剰なサービスは増えていくことで当然となり、そこからまた、新たな過剰が生まれる。客はどんどん、頭の悪い殿様みたいになってしまう。

 いちいち客に干渉したり、へりくだるだけがサービスではないと思うのだが。

(作家)

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