ニュース: 生活 RSS feed
【こうして生まれた ヒット商品の舞台裏】住商フルーツ「甘熟王」
■絶妙な名前で味を連想
日本人が一番多く食べている果物、バナナ。そのバナナ市場を最近にぎわしているのが、住商フルーツが輸入・販売する「甘熟王」だ。甘さとコク、モチモチっとした独特の食感が評判を呼び、昨年の輸入量は前年比1・5倍の545万箱と急増した。
甘熟王のふるさとはフィリピン・ミンダナオ島。昼夜の寒暖差が大きい標高約700メートルの高地で栽培されるため、低地バナナより育成期間が長く、甘みや粘りといった食感のもとになるデンプン質が多く蓄えられるのだという。
バナナは本来、熱帯地方の低地の果物。だが30年あまり前、フィリピンに新規参入した同社は平野部の農園を確保することが難しく、たまたま手に入った高地での栽培を手がけるようになった。以来、1本の木に年間約2キロの有機質肥料(鶏糞(けいふん))を使い、肥料が雨で流されないよう手作業で穴を掘って与えるなど、工夫を続けてきた。
「味には絶対の自信があったのに、ドールやデルモンテ、チキータといった外資系ブランドに比べて知名度が低く、以前は売り場に置いてもらえなかった」とマーケティング部の清野達也部長。
そこで一昨年、大胆なブランド戦略に打って出た。キングスバナナ、プレミアムバナナなど4回も変えてきた商品名を社内公募で一新。「昭和40年代までバナナは風邪をひいたときなどに食べさせてもらえる高級品だった。その記憶がある年配の主要顧客にわかりやすいように漢字を使い、バナナの王様だと一言で味を連想してもらえるようなネーミングにした」と清野さん。
昨年はお笑いタレントのキャイ〜ンを起用したCMを放送したほか、キャラクター商品も展開。絶妙のネーミングとブランド戦略が奏功し、その認知度は15%から57%へ一気に上昇した。
清野さんは「暖かくなる春先は一年で最もバナナの需要が高まる季節。フィリピンの人が大切に育ててくれた甘熟王をぜひ一度味わって」と話している。(中曽根聖子)

