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【溶けゆく日本人】蔓延するミーイズム(9)豊かな時代の万引 (1/3ページ)

2008.2.15 10:12
このニュースのトピックス溶けゆく日本人
ポスターを掲げ、万引防止に取り組む大手書店=東京都内ポスターを掲げ、万引防止に取り組む大手書店=東京都内

 ■ゲーム感覚、罪悪感なし

 現代アーティストとして活躍する別府公夫さん(49)=仮名=は、東京都内で生活をしていた中学生(15歳)のころ、スーパーで食品を万引したことがある。自由業の父親は家に帰らず、ほとんど金も入れなかった。義母と弟の3人暮らしで、毎日の食事にも事欠く貧しい生活だった。

 それでも我慢していたが、あまりの空腹に我慢できず、近くのスーパーに行き、チャーシュー1パックに手を出した。

 「いつも腹が減っている状態だった。空腹は満たせたが悔やみ、1週間くらいイヤな気持ちが続いた」

 別府さんは罪悪感にさいなまれ、それ以後、万引をすることはなかった。

 当時は監視カメラなどはほとんどなく、監視員の目も今ほど光っていたわけではない。

 「僕の場合、たまたま見つからなかっただけですが、万引は他人の物を盗むわけですから当然犯罪です。過去を思いだすたびに心が痛みます」

 日本全体が貧しく、生きるために仕方なく万引をしてしまうことは多々あった。

 ところが、現代の万引は様相が違っている。商品があふれる時代にあって、貧しさのために盗むケースは少ない。

                   ◇

 2年前、スーパーでお菓子を万引して警察に補導されたことのある埼玉県の少年(17)は、「特にほしいものはなかったが友人と遊び半分でやってしまった。悪いことという意識はなく、見つかるかもしれないというスリル感もあった」と打ち明ける。

 まさにゲーム感覚である。万引は窃盗罪の成立する犯罪行為だが、ゲーム感覚の彼らには罪悪感はまったくない。

 作家、角田光代さんの短編集『太陽と毒ぐも』には、そんな時代を映して、罪悪感なく万引を繰り返す30歳目前の女性と、彼女と暮らすフリーターの男性同居人の生活が描かれている。万引した食品や日用雑貨に囲まれて暮らす毎日。男性には罪の意識があるが、女性は意に介さない。

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ポスターを掲げ、万引防止に取り組む大手書店=東京都内
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