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【大阪 食の誘惑】「脇役に徹し」料亭の女将 (1/2ページ)
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日本の料亭は、料理のみならず、それを味わい楽しむための演出や空間を洗練させることで、世界に類のない独特の飲食スタイルを築いてきた。たとえば芸妓(げいぎ)が同席し、客は酒を酌み交わし食事をしながら、芸妓の舞や唄(うた)を楽しむことができる。こうした遊興を伴う食を提供するのが料亭の特徴のひとつだ。
大阪では商人が商売相手を接待するのに利用したため、江戸時代から料亭文化が発展した。北浜にある老舗料亭「花外楼」は、その伝統をいまに引き継ぐ。
大阪商人は質素・倹約を信条とし、普段はつつましい生活をしていたが、必要なときは財力を背景に惜しみなく資金を投じた。大切な商談もそのひとつで、客へのもてなしの場として利用したのが料亭である。
「花外楼」の女将、徳光正子さんは、料亭のもてなしの極意を「脇役に徹すること」という。「店を利用される方それぞれの要望されたものを用意し、目的にかなうよう気を配るのが私たちの役目」と話す。
料亭のもてなしは、まず食事にあらわれる。日本全国から最高級の旬の素材を集め、職人の確かな技で料理する。まさに「ご馳走(ちそう)」である。その料理は、趣向に応じて選ばれた器に美しく盛り付けられ、調度品など細部にまで贅(ぜい)を尽くした空間の中で供される。これらの行為はすべて、招待する側が招待される側をいかに大切に思っているかという気持ちを表すもの。
それをさりげなく行う。ここに料亭のもてなしがあるのだが、決してかたちにはとらわれない。徳光さんは「明治時代の店のメニューにはウイスキーやサンドイッチが入っていた」とし、「単に格式を守るだけでなく、いいと思うことを自由に取り入れてきたのが大阪らしいところ」と話す。

