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【溶けゆく日本人】蔓延するミーイズム(4)衝突避ける家庭 (1/4ページ)
■癒やすのは自分だけ
東京都小金井市の主婦、林和美さん(55)=仮名=は、外資系の会社に勤める夫(54)と高校生の二男(17)の3人暮らし。年末年始は、体調を崩した父のもとへ1人で帰省した。
残った夫と二男は、元日は2人で外食し、2日と3日は、それぞれ別々にコンビニ弁当などですませたという。
「夫は2日から仕事だし、息子はアルバイト。子供を連れて実家に帰ると双方気を使わせます。正月といっても、もともとおせちは食べないし、『何か作っておいて』というリクエストもなかったですよ」と明るく話す。
広告会社「アサツー ディ・ケイ」200Xファミリーデザイン室長の岩村暢子さんが、平成11年から2回にわたり、クリスマスと正月に焦点を絞り、首都圏の延べ233世帯の食卓をリサーチして出版した『普通の家族がいちばん怖い』(新潮社)によると、林さんのような家庭は珍しくない。
17年1月の調査では、3分の1の家庭がおせち料理らしいものを食べず、4割の家庭が元旦の食卓に家族がそろっていなかった。
理由はそれぞれに、ある。
元旦に「クロワッサンと残り物のおでん」が並んだ家庭は、「暮れは仕事やなんかでバタバタしたから」(31歳主婦)
「うどん、パン、おにぎり」の家庭は「おせち料理は作るのも食べるのも嫌なので、作る気も買う気もしない」(42歳主婦)
「ウチでは普段から、みんな自由にさせている。だから、起きるのも食べるのもバラバラです」(50歳主婦)
岩村室長は「今の社会は『誰かや何かの犠牲になるのはいけないこと』という共通認識がある。そのうえ、無理や我慢をしてストレスをためるのは『体に悪い』。だから、おせち料理が面倒なら作らないし、子供たちも食べたくなければ食べなくていい。それが当たり前になった」と話す。
家族の間でも、いや家族だからこそ、面倒な衝突や努力を避け、互いに負荷をかけない生活をするという暗黙の了解が成り立っているようだ。

