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【循環生活のすすめ】(8)オレンジプロジェクトの目指すもの
日本人にとって最も親しみのある冬の味覚、みかん。けれども、今、後継者不足で放置せざるをえないみかん畑が増えている。手入れが行き届かないみかん畑は、ツル性の植物や草によって日当たりが悪くなり、枯れるしかない状況に追いやられることもしばしばだ。
こうした問題に対してひとつの解決策になりうる取り組みがはじまっている。土壌管理コンサルタントの四井真治さん(36)がアドバイザーを務める「オレンジプロジェクト」(NPO法人BeGood Cafe主催)の活動だ。月1回、希望者を募って神奈川県小田原市のみかん畑にいき、草刈りや剪定(せんてい)をして無農薬みかんを育てる−という活動であるが、平成17年にはじまって以来、都市部の20〜30代の若者を中心に、毎回20人近くの人たちが参加している。
何が人々を小田原のみかん畑にひきつけているのか。そこには、単なる農村支援だけにとどまらない“ふたつの視点”があった。
ひとつは、木を育てながらその根元で作物を栽培する「アグロフォレストリー」の考え方。下草の役割として背丈の低いベリーの木やハーブを植えることによって、作業の手間を省き、自然な土つくりを促した。また、みかんの栄養吸収を助け、病害虫を予防するイネ科のナギナタガヤなども植えることで農薬を使用せず自然の生態系に倣って果樹の生育を助ける工夫もある。
ふたつ目は、皆でみかん畑にさまざまな草花を植え育てる作業それ自体が「コミュニティーガーデン」の機能となり、楽しみながら活動が持続できる点だ。単調になりがちな草刈りや剪定作業に、「庭作り」の要素を取り入れたことで、参加者のコミュニケーションが活発化し、より心地よい空間ができた。
四井さんは「みな喜々として作業しているのを見ると本当にうれしい。この仕組みが広がり日本の貴重な農業資産を少しでも後世に受け継ぐ橋渡しになれば」と語る。
草に覆われたみかん畑に、人々の手が加わり、太陽の光が差しこむ。みかん畑をただ再生させるだけでなく、いかに再生させ、持続させるのか。単なる商品というだけではない「果実」がそこにはあった。(ホリスティックライフ研究家 心理セラピスト 村松さと子)

