ニュース: 生活 RSS feed
【溶けゆく日本人】快適の代償(5)姿勢が悪い (1/3ページ)
■30分間まっすぐ座れず
兵庫県内の会社員(40)は最近、小学校5年生の長女が背中を丸め、机に顔を近づけて勉強しているのが気になっている。ときにはノートを押さえる左手の上に頬(ほお)をぺたんとのせて、ほとんど真横からノートを見ながら問題を解いている。
「『姿勢よくしなさい』というとそのときは、背筋を伸ばす。でもしばらくすると元のようにダラーッとする。どうも背筋を伸ばした姿勢が苦手のようです」
一戸建ての2階、6畳ほどの子供部屋は、エアコンが効いて快適だ。
神戸市内に住む会社員(37)は、今春入学した長男(6)の小学校の様子をこう説明する。
「歩き回るような子はいないし、わりと静かに授業を受けていたので、少しほっとしています。でも、ちゃんと背筋を伸ばして先生の目を見て話を聞いている子供は少数派。頬杖をつくか、背中を丸めて手元をいじるか…。中には机の上に堂々と寝そべる子供もいました」
子供の姿勢が悪いのは特別なことではない。日本人の骨格に合わせた姿勢矯正椅子(いす)の開発に携わった猪本順子さんは、計600人の子供を集めて行った実験で目にした光景が忘れられない。なんと子供たち30分もまっすぐ椅子に座っていられなかったのだ。「すぐにぐにゃぐにゃ、ベターッとなって、まるで軟体動物」と猪本さん。
背中を丸めた状態は、内臓機能を低下させる上に、血液の循環を悪くする。とくに右手を多用する環境では、背骨のゆがみの原因にもなる。東京都内の施療院、カイロプラクティック研究所には、肩こり、腰痛など大人と同じような症状で来院する子供がいる。
「外で遊ばず、ゲームやテレビ、パソコンの前で過ごすから、背が丸くなるのでしょう。姿勢を改善するために発達したのが武道や茶道などの“道”でしたが、いまや正しい姿勢を知る人も少なくなりました」と院長の山根悟さんは苦笑する。

