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【溶けゆく日本人】快適の代償(4)安易な借金 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:溶けゆく日本人
■ATM感覚から泥沼
携帯に、職場に、昼夜を問わず貸金業者から電話をうける日々だった。「いっぱいいっぱいでした…」。埼玉県内の自動車整備会社に勤める斉藤忠夫さん(26)=仮名=は、多重債務で自己破産に追い込まれた3年前の苦い記憶を振り返った。
「ちょっと遊びにこない?」
きっかけは20歳の誕生日の2日後、自宅にかかってきたアポイントメントセールスの電話だった。さいたま市内の事務所に出向くと、120万円のパソコンセットを購入するまで何時間も足止めされた。
斉藤さんは、断ることが苦手なタイプだという。それからも同じような電話があると、断りきれずに出かけては、ビデオ教材、ダイヤのネックレスなどを買わされた。計5件の購入で組んだローンは550万円以上。月の手取りは11〜16万円。毎月の返済額が5万円を超えたころ、消費者金融の借り入れで穴埋めをするようになった。小遣いがないので休日も外出できず、昼食も抜く日々。
「コンビニなら24時間開いてるんだから、ATMで支払って!」
消費者金融の督促に追われ、また新たに借金を重ねる。会社にも頻繁に督促の電話がかかってきた。同僚から「まずいんじゃない?」と心配された。それでも、家族や親しい友人には借金のことは知られたくなかった。
頭の中は支払日のことでいっぱいになり、1週間で元金が倍になるヤミ金融にも手を出した。返しても返しても借金は膨らんでいき、3年間で債務総額は650万円に。月々の返済額は20万円を超えた−。
業者の電話で異変に気付いた父親が付き添い、県内の司法書士事務所を訪ねたことで、借金生活は終わった。自己破産の手続きを終えたとき、斉藤さんは「督促の電話がかかってこなくなったことに、ただホッとした」という。

