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【主張】温室ガス中期目標 「笑わば笑え」の気概こそ

2009.6.2 03:08
このニュースのトピックス主張

 2020年までに日本の排出する温室効果ガスをどの程度減らすかという「中期目標」の検討が進む中、1990年比で「7%減」という選択肢が有力になりそうな気配である。

 政府が国民対象に行った先のアンケートで、この数値を選んだ人が最も多かったためだ。

 これに先行して政府が実施している意見交換会やパブリックコメント(国民からの意見募集)では用意された6つの選択肢から、90年比「4%増」(2005年比だと「4%減」)を選ぶ人が最も多く、90年比「25%減」が、それに次ぐ結果となっていた。

 4%増と25%減という2極分離の傾向に頭を痛めていた政府にとって、アンケートで出た中間的な7%減は、渡りに船の「落とし所」に映るようだ。

 だが、少し待ってほしい。それだけで決めるなら、あまりにも安直ではないか。二酸化炭素に代表される温室効果ガスの排出量は、国の経済活動や国民の生活の質と深くかかわる。中期目標は、今後10年にわたって日本の将来を左右する極めて重要な数値である。

 熟慮を怠ると6%削減を公約した「京都議定書」の二の舞いになりかねない。世界に先駆けて省エネを進めていた日本は、削減余地が少ない。約束実現のために、外国から削減量を買い取ってつじつまを合わせるという苦肉の策を余儀なくされているではないか。

 7%減を選択すれば、まず間違いなく膨大な金額が日本から省エネへの取り組みが出遅れている国々に流れていくだろう。それは税金や企業が汗した収益だ。

 日本が国際削減交渉の場で示すべき中期目標としては、4%増が望ましい。この数値では「世界の笑いものになる」という声もあるが、地球環境の将来と同時に国益がかかった問題であることを忘れてはならない。

 各国が準備している目標値は、いずれも実現可能な範囲である。その冷徹な検討ぶりを見据えることなく、数値比べにあおられると地球温暖化防止のためという取り組みの本質を見失う。

 日本が中期目標で高い削減率を示せば、国際交渉の場で主導権が取れて、中国などの途上国がついてくるという声もある。その見解が正しいかどうかは、京都議定書の結果を見れば明らかだろう。

 国際交渉には「笑わば笑え」の気構えも必要だ。

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