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【環境立国ニッポンの挑戦】第6章 未来に向けて(5)

2008.11.20 03:11
このニュースのトピックス環境・エコ

 ■太陽光発電 目標は40倍

 化学コンビナートや火力発電所、製鉄所など大規模工業施設が立ち並ぶ川崎市川崎区の埋め立て地。京浜工業地帯の中心に位置するこのエリアに、東京ドーム7個分ほどの空き地がある。今はススキや雑草が生い茂り、さながら原野のようだが、3年後には現在の様子からは想像もできない最新施設に生まれ変わる。出力2万キロワットに及ぶ国内最大規模の太陽光発電所だ。

 この土地は川崎市と東京電力が分けて保有している。東電は火力発電所の用地として取得していたが、現在の電力需要から考えると、火力発電所を新設する必要はない。「太陽光発電施設を造りませんか」。別の用途を検討していた今夏、川崎市からこう打診された。

 東電の計画では太陽光発電パネルの設置面積は30ヘクタールにも及ぶ。年間の発電量は約2100万キロワット時で、一般家庭約5900戸分の電力を賄える。その分、火力発電所の稼働を抑えれば、約8900トンの二酸化炭素(CO2)を削減できる。

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 1カ所で何千戸もの電力を賄える大規模な太陽光発電所は「メガソーラー」と呼ばれる。多額の費用が必要で、東電も約100億円を投資する見通しだ。

 加えて、一般家庭にも設置できるのが、太陽光発電の利点だ。奈良県広陵町に住む40代の主婦も昨年10月に自宅に設置した。

 この主婦の家では、家族の持病のために、年間を通じて室内の温度を一定に保つ必要があった。エアコンがフル稼働する夏冬のシーズンは、月の電気代が3万円を超えた。何とかならないか、と考えていたときに耳にしたのが太陽光発電。設置費用の210万円はローンを組まざるを得なかったが「少しでも電気代が減るなら…」と踏み切った。

 実際に設置してみると、電気代は平均して4割も減った。エアコンをあまり使わない5〜6月ごろには、月7000円ほどの売電収入もあった。電気代の減少分を差し引くと、月々の負担増は5000円程度。「こんなに変わるとは思わなかった」と満足そうだ。

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 日本は太陽光発電で世界をリードしてきた。だが、平成16年に累計設置規模でドイツに逆転を許し、トップメーカーだったシャープも、19年には独メーカーに首位の座を明け渡した。環境立国を目指すには、この“お家芸”の復活が不可欠だ。今年6月、福田康夫首相(当時)は「世界一の座を奪還する」と宣言、導入量を42年に40倍に引き上げる目標を掲げた。達成にはメガソーラーだけでなく、新築住宅の7割以上が太陽光発電装置を設置しなければならない。普及を後押ししようと、政府も来年度から設置費用の補助制度を復活する。

 だが、昼間しか発電できず、天候によっても発電量に変動が生じる太陽光を安定的な電源として利用するには、余った電力を蓄えておく大規模な蓄電池の設置などの対策が欠かせない。政府目標を達成するのに必要な対策コストは最大7兆円とも試算されている。

 国を挙げて太陽光発電の普及を進めるドイツでは太陽光による電力を高値で買い取る代わり、各家庭の電気代が月約500円値上がりした。日本でも7兆円を各家庭に割り振れば、毎月200円以上の負担を強いられる。それでも普及は進むのか。環境立国を目指す覚悟が問われる。

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