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【環境立国ニッポンの挑戦】第6章 未来に向けて(3)
■省エネ住宅 エコと実利両立
北海道内陸部に位置する旭川市の寒さは厳しい。ここ30年間の平均で年間143日も降雪があり、明治35(1902)年に記録した氷点下41度は、日本の最低気温として100年以上破られていない。この厳しい環境の中で、住宅大手のミサワホームは今年3月から未来に向けた省エネルギー住宅の実験をしている。
「次世代ゼロ・エネルギー住宅」と名付けた住宅の外観は、隣の建売住宅と変わらない。だが、ミサワの総合研究所環境・エネルギー研究室の太田勇室長は「クルマなら“F1マシン”に相当するほど、省エネ技術をふんだんに取り入れている」と胸を張る。
11月に入って旭川の平均気温は4度を下回る。通常の住宅なら暖房が必要だが、この住宅では日中なら、ほとんどエネルギーを使わなくても快適だ。
2階の物置スペースにあるスチール製の扉を開くと、ずらりと計器が並んでいる。照明、キッチン、エアコン、風呂…。家屋のあらゆる個所での省エネ効果が計測されていた。
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“F1”の技術を見てみよう。窓には断熱性の高い特殊なガスを封入した二重ガラスを採用した。日光の熱は取り込む一方、室内の熱は逃さないコーティングを表面に施してある。壁の断熱材の厚さは約20センチもあり、床下部分までくるみ、バスタブの底にも張り付けた。レンジファンのダクトには空気清浄機を組み込んだ。屋外に捨てていた熱を室内に環流できるようにするためだ。
空気中の熱を取り出し少ない電力で湯を沸かすヒートポンプを備え、屋根には全面に太陽光発電パネル。発電能力は9・5キロワットで、一般的なタイプの約3倍もある。
この住宅は、近く一般に売却、実際の生活での省エネ効果を調べるが、ミサワは「既存住宅に比べ、年間約30万円の光熱費を削減できる」とみている。電力会社に売る余った電気を積み上げると、寒さの厳しい旭川なら100年で、東京だと30〜40年で建築時に使ったのと同等のエネルギー量になる計算という。
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F1とまでいかなくても、高性能な省エネ住宅はすでに販売されている。平成11年、退職を機に省エネ住宅を購入した川崎市の足立弥八郎さんは、「電気代はゼロ。そのうえ売電で年間5万〜8万円の収入がある」と笑う。大きめの太陽光発電パネル(11・2キロワット)を設置したほか、断熱材を厚く、窓ガラスは3重にもした成果だ。
ただ、当然価格は高くなる。既存住宅に比べ、太陽光パネルなど200万円以上が上乗せされ、足立さんは「退職金などである程度の余裕がないと、ためらう人は多いのでは」と話す。
それでも省エネ住宅の普及は進みつつある。資源エネルギー庁によると、平成19年度の新築住宅に占める省エネ住宅の比率は40%強と推計され、17年度の30%から高まった。さらに普及を後押ししようと、所得税や固定資産税を減額する税制の優遇措置が今年度から導入されている。
政府は、27年度に住宅全体の40%を省エネ住宅とする目標を掲げている。実現への道のりはまだ遠いが、環境への配慮がもたらす“実利”が広く知られるようになれば、流れは大きく変わるかもしれない。

