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【環境立国ニッポンの挑戦】第5章「緑の油」(3)混合方法2規格並立の危うさ
沖縄県の宮古島市で毎年行われる全日本トライアスロン宮古島大会。今年は4月20日に行われ、約1500人の参加者は小泉純一郎元首相が放った号砲を合図に一斉にスタートした。
小泉元首相が宮古島を訪れたのは、沖縄びいきが高じたためだけではない。宮古島を走るすべての車のガソリンに、地元産サトウキビを原料にしたバイオエタノールを混ぜるという「バイオエタノール・アイランド構想」が、小泉政権時代に始まったからだ。
「私が支援するのは当然。各省が連携してやらないといけない」。2月に地元のエネルギー会社「りゅうせき」が運営するバイオエタノール製造施設を視察した小泉元首相は力強くそう話した。
同構想は環境省や経済産業省などの連携事業だが、経産省管轄の石油連盟は宮古島とは異なる方式でバイオエタノールの普及を進めており、宮古島の事業も影響を受けていた。小泉元首相が各省連携を強調したのには、そんな理由があった。
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バイオエタノールをガソリンに混ぜる方法は2種類ある。1つはガソリンとエタノールをそのまま混ぜる直接混合方式で、宮古島では3%のエタノールを混ぜるため、「E3」と呼ばれる。もう一つはETBE方式。エタノールをETBEと呼ばれる添加物に合成してからガソリンに混ぜる。
石油元売り会社などで組織する石連は品質の安定性に優れたETBE方式を推進しており、「バイオガソリン」として昨年4月から首都圏で試験販売を始めた。現在、販売店は100店だが、ゆくゆくは傘下のガソリンスタンド(GS)すべてでバイオガソリンを販売する計画だ。
ただ、ETBE方式では製油所でガソリンとETBEを混合させるため、小規模生産には向かない。バイオエタノール生産量が少ない宮古島ではE3方式しか考えにくいが、19カ所ある宮古島のガソリンスタンド(GS)のうち、現段階でE3ガソリンを購入できるのは2カ所だけ。バイオエタノールの消費量は目標の1割にも満たない。石油元売り会社系列のGSでは事実上、販売できないのだ。
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E3を販売するGSが広がらないのは、廃木材を原料にした大阪府堺市でのバイオエタノール製造事業でも同じだ。E3ガソリンを販売する8カ所のGSすべてが、元売り系列以外だ。事業を支援する大阪府は「元売り系列のGSでは事実上E3を販売できない」(みどり・都市環境室)と不満を漏らす。
石連は特産品を利用して、宮古島などの地方がバイオエタノール生産に乗り出すことを否定しているわけではない。むしろETBE用に購入する意向さえ示しており、業界関係者は「抵抗勢力のようにいわれるのは心外」と迷惑顔だ。
世界に目を広げると、欧州ではETBE方式が主流だが、米国やブラジル、タイでは直接混合方式を採用している。しかもバイオエタノール混合比率は日本より高く、85%がバイオエタノールという「E85」まで普及し始めている。にもかかわらず、日本ではE3を販売するGSの確保さえ難しい。並立する2つの規格は、バイオエタノールの本格的な普及を前に、重い足かせとなっている。

