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【正論】「石油」頼みと「海」の交流 東洋学園大准教授・櫻田淳 (2/3ページ)

2008.7.8 02:49
このニュースのトピックス正論

どう、船舶を動かすか

 ところで、去る5月22日、福田康夫総理は、「太平洋が『内海』となる日へ」と題された演説を行った。各種メディアは、この演説が1977年に総理の実父、福田赳夫(当時、内閣総理大臣)が東南アジア政策三原則を打ち出した「福田ドクトリン」を強く意識したものであると説明し、「新・福田ドクトリン」と呼んでいる。「新・福田ドクトリン」の趣旨は、アジア諸国だけでなく米国やロシアといった太平洋を取り巻く国々との協力を通じて、太平洋を「内海」にするネットワークを構築しようというものである。

 筆者は、「太平洋を『内海』に」という福田演説の趣旨は、日本の「海洋国家」としての自画像を前にすれば、誠に無理のないものであろうと評価する。それは、安倍晋三前総理が標榜(ひょうぼう)した「価値観外交」や麻生太郎元外務大臣が提唱した「自由と繁栄の弧」構想に比べれば、特定の国々に対する牽制(けんせい)の色合いを帯びていないが故に対外政策構想としては遼(はる)かに包摂的にして成熟したものであろう。

 そうであればこそ、前に触れた「どのように船舶を動かすか」という議論は、そうした対外政策構想の前提として進められなければならないであろう。振り返れば、20世紀初頭に汽船が帆船を退場させて以来、船舶の運航は、重油や軽油の違いはあれども化石燃料に依存してきた。現下の原油価格高騰は、「太平洋を『内海』に」構想が期待する「海」を舞台にした人々の交流を萎縮(いしゅく)させるものであっても、決して促進するものではないであろう。

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