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【正論】洞爺湖サミット 福田ビジョンを生かす方策は 東京大学先端科学技術研究センター特任教授・米本昌平 (1/3ページ)

2008.7.7 02:26
このニュースのトピックス正論

 福田首相が日本記者クラブで発表した「福田ビジョン」は、日本の地球温暖化対策に関して具体的な方向性を示した点で、政治的メッセージとしては評価してよいだろう。だが、その内容となると問題をはらんでいる。

 福田ビジョンは、安倍前首相が唱えた、2050年までにCO2排出量を50%削減するとする「クール・アース50」を踏まえて、同時期までに日本は60〜80%の排出削減をめざすとし、また今後10〜20年の間に全世界の排出量を頭打ちにする必要がある、としている。しかしこれは、さまざまなシミュレーションの結果からして、もはや実現不可能な目標である。むしろ福田ビジョンの意味は、環境NGOに近い立場をとってきているEU(欧州連合)が設けた言説ゲームに、日本の側が乗ったことの方にある。

 この問題ではよく、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次報告が引用されるが、多くの場合、その引用のされ方はひどく不正確である。IPCC第4次報告の内容は、世界中が猛烈に努力し、かりにCO2濃度を600ppm(現在は380ppm)で安定化させたとしても、最終的に4℃程度上昇してしまうのであり、もし世界がこの道を進むとしても、今世紀後半には世界の総排出量を頭打ちにしなければならない、というものである。もう温暖化は不可避であり、CO2削減と同時に温暖化への適応政策を取らなくてはならないのだ。

近未来社会を見据える

 現在の議論の大きな欠陥は、削減幅の問題に単純化されている点である。そもそもエネルギーの消費と経済活動とは密接に連動しており、CO2削減の議論は数十年先の経済を計画するのに近い。一方、現存する最大の社会主義国の中国ですら、徹底した権力集中によっても5カ年計画は実施しきれず、かなり以前に放棄してしまった。

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