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静岡県下田市須崎 昭和天皇が愛した景観「無残」 (2/2ページ)
この背景には「財産区の土地を、市が借りて整備している事情がある」と市幹部。財産区は、自治体合併時に村など旧自治体の共有地・施設を地元民が管理・運用できるよう、地方自治法で特認された特別地方公共団体。議会設置も認められ、議員は選挙で選ぶことになっている。
須崎も財産区議会を置いているが、「話し合いで決まる自治会役員が議員を兼ね、遊歩道や駐車場の建設も一部役員の意向で、正式な議決は行われなかった」と地元関係者。市幹部も「財産区資産は自分たちの勝手にできると思い違いされる傾向にある」と話す。
須崎の自治会、財産区議会とも昨春で役員・議員が交代したが、「遊歩道は市の許可を得ていると思い、10メートルほど延長。九十浜の遊歩道も、車が入りやすいよう一部を改良した」と現役員。「延長や改良は財産区議会の総意だった」が、今回も市には無断だった。
問題の遊歩道が建設された場所は以前、幅30センチほどの踏み跡にすぎず、草に隠れて目立たなかった。青い海、緑の岬、白い灯台という美しさや、昭和天皇ゆかりの地ということで、全国に知られる爪木崎だが「緑の斜面に遊歩道が白い帯のように延びて景観が台無し」、九十浜も「車はバス通り沿いの市営駐車場にとめていたのに、今は砂浜手前にもずらり並んで景色を害している」と、観光客や住民から疑問の声が上がる。市は「原状回復させるかどうかも含め、対応を検討している」という。
昭和天皇は須崎の自然を愛し、御用邸には昭和47年から63年まで毎年、多いときは年6回訪れ、香淳皇后と爪木崎も散策された。今上陛下も皇后さまと爪木崎を散策されている。昭和天皇は55年発刊の『伊豆須崎の植物』(生物学御研究所編)の序文で「須崎へ行くと、ゆたかな光の中に身が浸る思いがする。空の色も海の色も心にしみて澄みとおるように感じる」と記し、「周囲の自然をいつまでも美しく保ってゆきたいと思っている」と結ばれている。


