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「環境立国ニッポンの挑戦」第3章(1)「柏崎の教訓」 (1/2ページ)
きれいな直線であるはずのセンターラインが微妙にゆがんでいる。日本海に面した海岸沿いでは陥没の跡が今も一部に残ったままだ。出力821万2000キロワット。原子炉7基を抱え、世界最大の原子力発電所として威容を誇った東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)の現在の姿だ。
新潟県中越沖地震。平成19年7月に起こったこの地震で、柏崎刈羽原発は被害の大きさを物語る象徴だった。それから10カ月。地震発生直後、黒煙をあげていた変電設備が撤去されるなど復旧作業は急ピッチで進められているが、地震のつめ跡は消えていない。
地震は東電の経営に大きな影響を与えた。柏崎刈羽原発の穴を埋めようと、火力発電を増やしたが、折からの原油高で燃料費が高騰し、平成19年度の最終損益は昭和54年度以来、28年ぶりに赤字に転落した。影響はそれだけではない。19年度の二酸化炭素(CO2)排出量は1億2000万トン強になり、前年度から約25%も増えてしまった。
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原発は発電の過程でCO2を排出しない。この特性が注目され、世界でいま、原発の再評価が進む。米国では昨年、30年ぶりに新規原発の立地許可が出され、31機の新設計画が動き出した。英国も今年1月、新設容認に転じた。仏原子力大手アレバは2030年までに世界中で100〜300基の原子炉が建設されると見込んでいる。
東電も総発電量の3分の1以上を原発がまかなう電源構成だ。温室効果ガスの削減を課した京都議定書の第1約束期間が始まり、民間企業にとってもCO2削減が大きな経営課題となるなかで、柏崎刈羽原発は大きな武器になるはずだったが、いまだに再稼働のめどは立っていない。
構内では工事用シートに覆われた補修中の設備も目立ち、復旧作業は道半ば。だが、それ以上に再稼働の壁になっているのが、耐震性に対する疑念が生じたことだ。柏崎刈羽原発を襲った揺れは、1号機で最大680ガル(ガルは加速度の単位)。耐震設計上の想定を約2・5倍も上回った。