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【正論】伝統文化をどんどん海外に 慶応大学名誉教授・池井優 (2/3ページ)

2008.5.1 03:42
このニュースのトピックス正論
池井優慶応大学名誉教授池井優慶応大学名誉教授

「日本の心」を伝える

 文化庁は平成15年度からこの制度を発足させ、3つのやり方でおこなっている。(1)日本在住の著名人を派遣する、(2)海外在住の日本文化に造詣(ぞうけい)の深い方々を起用し、現地で活動してもらう、(3)公演などで来日する諸外国の著名な芸術家に日本滞在の期間を利用して学校などを訪問してもらい実演、講演などを依頼する、である。

 特に(1)の海外派遣型を例にとると、平成19年度は華道、盆栽、能、人形浄瑠璃、日本舞踊、日本画、落語などその道に精通する人材11人を「日本の心を世界に伝える」使者として海外に送った。1カ月以上1年以内にわたって各国で日本文化への理解を深め、日本と外国の文化人にネットワークの形成、強化につながる活動を展開してもらうのである。

 落語に例をとろう。

 日本独特の笑いの芸能は果たして外国の人々に理解してもらえるのであろうか。落語の紹介には2つのやり方がある。ひとつは落語家が日本語で演じ、同時に背後にある字幕で説明する方法だ。

 演じる前に、なぜ着物でやるのか−着物を着ることで男も女も老人もこどもも表現できること、小道具は手拭(ぬぐ)いと扇子だけだが、手拭いは手紙、本、財布などをあらわすのに使われ、扇子は煙管、棒、刀、釣り竿の代用となること、さらに、1人の演者が座ったままで顔を左右に動かしたり、ちょっとした仕草(しぐさ)や声のトーン、雰囲気だけで武士、商人、芸者、こども、おばあさんなど何人もの人物を使い分け、歩く、走る動作も表現できることを理解してもらう。

 しかし、字幕をみるタイミングにあわせ、噺(はなし)のテンポは遅くする、ものを食べたり、飲んだりする動作は時間をかけ、じっくり見てもらうといった工夫で高座をつとめる。さらに寄席の踊り、南京玉すだれなどの寄席芸も披露する。

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池井優慶応大学名誉教授
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