ニュース: 生活 RSS feed
【産経抄】5月1日
このニュースのトピックス:産経抄
日本ののこぎりが引き切りなのに対して、米国製などは押し切りだ。森林生態学者の四手井綱英(しでい・つなひで)さんが、アメリカ太平洋岸の森林の生産力調査を行ったとき、いっしょに仕事をした現地の研究者が、日本式の方が使いやすいことを知り、それしか使わなくなったそうだ(『森林はモリやハヤシではない』)。
▼引き切りの方法が開発されたのは、室町時代だという。きれいな板が量産され、民家などの建設が盛んになった。この時代の発明品はほかにも数多く、農業生産高も飛躍的に伸びた。経済が大いに発達した半面、政治はまったくだらしがなかった。
▼もともと政権基盤の弱かった室町幕府は、中期以降は有力大名の反乱に手を焼き、一揆や飢饉(ききん)になすすべもなかった。特に8代将軍足利義政の継嗣争いがもとで起こった応仁の乱は京都を焼き尽くし、下克上の世を生み出し戦国大名の台頭を許した。
▼きのうの衆院本会議で、ガソリン税の暫定税率の復活を含んだ歳入関連法案が、与党の3分の2以上の賛成で再議決して成立した。ガソリンスタンド前の渋滞はなくなるにしても、値下げ前より負担を大きく感じるユーザーも少なくないだろう。
▼ここぞとばかりに民主党の議員は解散を言い立てるが、勝算はあるのか。結局与党が勝ち、しかも衆院の議席が3分の2を割ることになったら、国会は完全に機能を停止する。いつ果てるとも知れぬ政治の混乱を、11年続いた応仁の乱になぞらえる見方がある。
▼もっとも四手井さんは室町時代を例に挙げ、文化や文明は「政治より経済の発達におおいに関係があるのだろう」という。だから存分にどうぞ、と突き放して見た方が、かえって永田町の住民の奮起を促すことになるかもしれない。