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【環境立国ニッポンの挑戦】第1章 水資源(2)水10分の1でOK 干魃と勝負 (2/2ページ)
取水制限で洗車もできず、乗用車はほこりまみれ。芝は枯れ、造園業者は大量の人員整理を行った。農業は壊滅的な打撃を受け、酪農家は飼料の干し草不足で牛を手放す動きも広がっている。
干魃の原因は、南米ペルー沖で海面温度が下がる「ラニーニャ現象」によって気候パターンが変化し、雨雲を米南東部上空から遠ざけているためだ。米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所のジェームス・ハンセン所長は「干魃は地球温暖化と関連した地表の加熱によって激しさを増している」と訴える。
食料生産と水。干魃がさらに進むとすれば、食料確保には、両者の関係を大きく変える必要があるが、その可能性を秘めた技術の一部はすでに実用に移されている。
福島県南部に位置する白河市の表郷(おもてごう)地域(旧表郷村)。豊かな田園地帯をはぐくんできた社(やしろ)川が中央を流れ、南には八溝山系が連なるこの地域の一角に、完全無農薬の野菜を生産しているキユーピーの「TSファーム白河」がある。サラダ菜などの葉物野菜4500株を毎日出荷している。
ここでは土ではなく、V字型に立てかけたパネル上で野菜を生産する。パネルの裏側をのぞいてみると、根はむき出しのまま。この根に肥料を溶かした養液をコンピューター制御で定期的に噴霧する。根が吸収しなかった養液は、回収して再利用する。露地やハウスでの栽培と違い、土壌にしみこんで無駄になることはない。
「水使用量は、器具の洗浄水なども含めても1日20トン以下。同じ収穫量の露地栽培と比べて10分の1で済む」。キユーピー植物開発センターの佐藤滋課長はこう胸を張る。節水性能を評価され、過去には中東のクウェートからプラント購入の引き合いもあった。
キユーピーのプラントは、技術的には穀物生産にも応用できるという。日本が得意とするコンピューター制御による節水技術。その技術が世界の食料生産を大きく変えるかもしれない。

